出版社内容情報
日本のキャリア教育の問題とは何か? それはやりがい意識や勤労観だけを育むという労働の道徳化を推進し、経済社会の不平等や不公正や不正義を感じ取る力を養わないこと、これらに立ち向かうための方法を教えないこと、である。
日本では、人権教育が道徳教育と混同されているように、主流派のキャリア教育も勤労観と人間関係能力と職業スキルを高めることばかりに力点が置かれ、私たちにとって本当に必要な労働法、労働組合といった人権を実現する社会制度については寡黙である。それだけでなく、新自由主義的経済政策にどっぷりと加担してきた。だから、中学校から主流派のキャリア教育を受けてきた若者たちは、労働組合に疎隔感や反感を抱く一方で、賃金の不払いやパワハラ、セクハラにあっても我慢し、果ては「過労死」するまで働いてしまうのである。
労働は権利である。そのために労働者を護るための法律がある。ではどうすれば、みんなが安心して働ける社会を創ることができるのか。一緒に考えるための労働教育のあり方を考察する。
【目次】
目次
序章
第1節 根本的問題は何か
第2節 本書の目的
第3節 経済社会に関する二つの問い
第4節 カギは労働教育:三つの理由
第5節 エシカルな問いを問う:創造に向けて
第6節 本書の構成
第7節 用語についての補足
第1章 「社会」「働くこと」「自己」というビッグワード/マジックワード
─込められた意味に注意を払う
第1節 本章の目的
第2節 「社会」に関する二つの問い
第3節 「働くこと」「職業」「仕事」「勤労」「労働」
第4節 「自己」「人間」「市民」「個人」
第5節 本章の結論
第2章 資本制社会の拡大と「労働者の権利」の発明と展開
─「権利は闘い取るもの」の意味
第1節 本章の目的
第2節 人権の発明と発展の概略史
第3節 資本制社会(産業化社会)の歴史展開─アメリカを対象に
第4節 本章の結論
第3章 スーパーがうち立てたキャリア発達心理学
─機能主義理論への依拠
第1節 本章の目的
第2節 スーパーのプロフィールと彼が揺さぶられた社会状況
第3節 キャリアガイダンスとキャリア発達心理学との関係
第4節 機能主義理論の社会像・人間像
第5節 スーパーのキャリア発達心理学の元─ビューラーの心理学的生活段階論
第6節 スーパーの労働の捉え方─アメリカ的理念の実現との関係
第7節 本章の結論
第4章 キャリア教育政策の展開
─生徒や学生の苦しい状況から出発してきたか
第1節 本章の目的
第2節 キャリア教育政策の歴史
第3節 主流派のキャリア教育の政治経済的背景と教育批判・教育改革の論理
第4節 キャリア教育政策と学校現場の関係
第5節 生徒や学生のおかれた苦しい状況
第6節 本章の結論
第5章 キャリア教育が言及していないこと
─批判理論の視点で迫る
第1節 本章の目的
第2節 批判理論とキャリア教育の分類
第3節 「ゆたかな社会」の反転にどう言及するか
第4節 労働者の権利行使と労働組合の役割
第5節 本章の結論
第6章 識者によるキャリア教育の代替カリキュラムの検討
─労働教育と呼ぼう
第1節 本章の目的
第2節 識者の代替カリキュラムの検討
第3節 文部科学省(2004)の「枠組み(例)」─いわゆる「4領域8能力」
第4節 本章の結論
第7章 なかなか広がらない労働教育の授業
─実態をつかむ7つの視点と政策動向
第1節 本章の目的
第2節 労働教育授業の実態─「出前授業」を含めて
第3節 労働教育推進の動向
第4節 本章のまとめ
第8章 労働教育に取り組む授業
─国内の事例と海外の事例
第1節 本章の目的
内容説明
「真面目に働こう」「仕事に誇りを持とう」という勤労観を育むだけでは、過労死やパワハラは防げない!賃金不払い、セクハラ、オワハラetc.にあっても泣き寝入りしない!安心して働ける社会を創ろう!
目次
序章
第1章 「社会」「働くこと」「自己」というビッグワード/マジックワード―込められた意味に注意を払う
第2章 資本制社会の拡大と「労働者の権利」の発明と展開―「権利は闘い取るもの」の意味
第3章 スーパーがうち立てたキャリア発達心理学―機能主義理論への依拠
第4章 キャリア教育政策の展開―生徒や学生の苦しい状況から出発してきたか
第5章 キャリア教育が言及していないこと―批判理論の視点で迫る
第6章 識者によるキャリア教育の代替カリキュラムの検討―労働教育と呼ぼう
第7章 なかなか広がらない労働教育の授業―実態をつかむ7つの視点と政策動向
第8章 労働教育に取り組む授業―国内の事例と海外の事例
第9章 労働教育はアンペイドワーク(無償労働)も取り上げよう―フェミニスト経済学の視点
第10章 労働教育は交換的正義の新たな展開も取り上げよう―「抵抗」だけでなく創造も
終章
著者等紹介
筒井美紀[ツツイミキ]
法政大学キャリアデザイン学部教授。東京大学大学院教育学研究科単位取得退学。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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