出版社内容情報
運動が苦手で人見知りの蒼太郎と運動神経がよくてお調子者の律。対称的なふたりの中学1年生男子が、化学者の森井老人の指導のもと、人類がどうやって「青色」を手にしたのかを証明する壮大な実験に挑戦する。顔料に使えるような青色の石(鉱物)は自然にはほとんど存在しないため、古代から人類は様々な工夫をして「青」を作ってきた。銅やお酢、ウシの血など、簡単に手に入る材料から高価な青を作りだした、人類のあくなき探究の旅にあなたも同行しませんか?
内容説明
運動が苦手で人見知りの蒼太郎と運動神経がよくてお調子者の律。対称的なふたりの中学1年生男子が、化学者の森井老人の指導のもと、人類がどうやって「青色」を手にしたのかを証明する壮大な実験に挑戦します。顔料に使えるような青色の石(鉱物)は自然にはほとんど存在しません。だからこそ人類は古代からさまざまな工夫をして「青」を作ってきたのです。銅やお酢、ウシの血など、簡単に手に入る材料から高価な青を作りだした、人類のあくなき探究の旅にあなたも同行しませんか?
目次
第1章 ヴェルディグリとオドントライト
第2章 ラピスラズリとウルトラマリンブルー
第3章 スマルトとフォルスブルー
第4章 エジプシャンブルー
第5章 骨董店と科学倶楽部
第6章 マヤブルー
第7章 プルシアンブルー
第8章 埴輪
第9章 中世の青色の話
第10章 旅立ち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
82
児童書。YA。筑波大学の教授と油彩画の保存修復の専門家の共著。美術史を彩る「青色」の歴史をストーリーで辿る▽中学1年生の蒼太郎(そうたろう)と律(りつ)は、夏休み期間に科学倶楽部を主催する森井老人の助手をする。森井老人は元大学教授で、中央美術館の研究員に頼まれて、展示用の「青」の史料を再現する。蒼太郎と律は、鉱物を砕いたり牛の血液を煮たり臭い藻を採取したりして古代の「青色」をつくる▽錬金術。実験の楽しさがよく伝わる物語。巻頭にカラーで実物の写真がある。良本。2025.1刊 2025/03/27
たかこ
56
読友さんのレビューから。13歳からの考古学シリーズ本。中学生の時にこういった経験ができるのは豊かだと思う。単なる知識習得の勉強ではない、手を動かしたからこそわかる自然や化学の知識、そして一緒に活動する人との関わり。友達や家族、先生やそれ以外の大人等と一緒に行動したからこそ得られるものだと思う。そして、青の内容も面白かった。私の青色のおすすめは、金沢の前田家の奥方のために建てられた成巽閣(せいそんかく)、中でも群青の間のウルトラマリンブルーは必見。漫画では、『青の花器の森 小玉ユキ』波佐見焼きの呉須の青。2025/04/30
まる子
29
上野にある科学倶楽部に所属する中1の蒼太郎と律。化学者の森井老人に出会った事で、古くから人が求めていた「青色」を知る実験へ。古代、ラピスラズリの鉱物から作られる天然のウルトラマリンブルー1グラムは、金1グラムと同じ価値だった事に驚き、その青を手に入れるには手のかかる作業だった。古墳時代の日本では青を作るために酸化させる技法で青や緑を作っていたそう。古代エジプトで使用された「青色」の原料ラピスラズリはアフガニスタンで採取される鉱物だった。13歳からの考古学シリーズ。個人的には「ファラオ」より好き。2025/02/17
スイ
10
歴史・化学ものだと思ったら、中学生を主人公にした物語だったのに驚いた。 夏休み、科学クラブの先生のもとでこれまで作られてきた様々な青を作ることになった中学生二人。 口絵ページの写真を見ながら、ここからこういうものができるのか、と一緒にわくわくできた。 中心は青を作ることだが、10代のもどかしさなども織り込まれていて良い。 物語にすることで、親近感が湧いて読みやすかった。 2025/04/24
seraphim
7
物語仕立て。古代の人々がどれほど綺麗な青を求めて、試行錯誤したのか。中1男子2人が、科学倶楽部の森井老人と一緒に、実際に青の顔料作りを行いながら、青の歴史に思いを馳せるお話。科学的根拠に基づきつつも、物語になっているため読みやすかった。各物質がどのような変化を起こして様々な青になるのかという、詳しい化学的な話しになると、大学で勉強してねという話しの流れになるので、化学に疎い私でも楽しく読めた。巻頭に物語に登場する顔料が、カラー写真で紹介されているので、読みながら確かめられるのも良い。2025/05/15