内容説明
岡山市の西、足守川流域から総社平野にかけては、古墳時代から古代の重要な遺跡が密集する吉備の中心地だ。この地に列島第四位の墳丘長を誇る吉備の大王墓、造山古墳がある。畿内の古市・百舌鳥古墳群の巨墳に比肩する超巨大古墳の実像に迫る。
目次
第1章 超巨大古墳がなぜ岡山に?
第2章 みえてきた陪塚のすがた
第3章 千足古墳の発掘
第4章 造山古墳の発掘
第5章 だれが埋葬されているのか?
第6章 吉備政権を支えた人びと
著者等紹介
西田和浩[ニシダカズヒロ]
1977年、愛媛県宇和島市に生まれる。岡山大学大学院文学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ステビア
21
「吉備の王は倭王権の一翼を担いながら多方面に展開するネットワークを背景に地域政権の運営をおこなっていたことがうかがえる。…瀬戸内海航路を利用し多方面に展開するネットワークがその背景にあったのだろう。」2023/11/30
月をみるもの
18
この造山古墳ができた時は、まだ大山古墳(仁徳陵)はできていない。いまのサイズランキングでは4位だが、往時は一二を争う古墳だった。九州や半島とも強いつながりを持つ、この古墳に埋葬された王は、近畿の王たちにとっても大きな存在だったはずだ。出雲に比べると記紀での出番はあまり多くはないが、古墳や埴輪の原点が楯築墳丘墓にあることを考えれば、吉備が古代日本における最重要地域のひとつであったことは間違いない。2023/03/11
うしうし
5
5世紀前半に構築された造山古墳とその周辺の古墳群の最新調査成果を紹介した書籍。千足古墳(造山6号墳)は直弧文のある石障が損傷したのを機に発掘が行われ、第2石室を新たに確認。古くから知られていた第1石室は九州との関係が深い。榊山古墳(造山1号墳)は朝鮮半島との繋がりが深い馬形帯コウや龍文透金具が出土(p63~64)。また、5世紀後半の方墳である第2号墳からは謎の埴輪列が検出されている(p25)。造山古墳ビジターセンターも開館しているらしいので、いつか訪れてみたい。2021/05/28
坂津
2
墳長約350mで全国第4位の規模、宮内庁に治定されておらず立ち入りが自由な古墳としては最大の前方後円墳、造山古墳。吉備の地に何故これほど巨大な古墳が築造されたのか。埋葬施設が発掘されている千足古墳や榊山古墳などの陪塚の副葬品や石室の性質から、九州や朝鮮半島とのネットワークを築きつつ、畿内の倭王権との関係も良好な被葬者の姿が浮かび上がってくる。2020年11月発行であり、最新の発掘成果だけでなく、2018年の西日本豪雨による墳丘の崩壊や、2020年4月に開館したビジターセンターについても言及されている。2021/03/10
kaz
0
そもそも岡山県にこれほど巨大な古墳があるとは、全然知らなかった。図書館の内容紹介は『岡山市の西、総社平野は古墳時代から古代の重要な遺跡が密集する吉備の中心地。この地に列島第4位の墳丘長を誇る吉備の大王墓、造山古墳がある。畿内の古市・百舌鳥古墳群の巨墳に比肩する超巨大古墳の実像に迫る』。2020/12/10