内容説明
亡くなった人は海の彼方にある他界へと舟にのり旅立つ…。そんな日本列島に深く刻み込まれたイメージそのままに、丸木舟に亡骸を埋葬した痕跡が千葉県館山市の洞穴でみつかった。縄紋時代の洞穴利用と古墳時代の舟葬墓の発掘調査から、海の民の他界観を追究する。
目次
第1章 海からのまなざし
第2章 海進と隆起のはざまで
第3章 房総半島の洞穴に太古を求めて
第4章 大寺山洞穴の縄紋人
第5章 古墳時代の舟葬墓
第6章 舟葬と海上他界
著者等紹介
岡本東三[オカモトトウゾウ]
1947年生まれ。明治大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(史学)。千葉大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
11
直前に読んだ妖星伝に補陀落渡海の話が出てきたのでめっちゃタイムリーー。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E9%99%80%E8%90%BD%E6%B8%A1%E6%B5%B72020/05/30
うしうし
2
千葉県館山市大寺洞穴遺跡で発見された古墳時代中・後期の舟葬墓の紹介。丸木舟を棺に用いた12基以上の「舟棺」には衝撃を受ける。朝鮮半島製と推定される銅鈴や金属製歩揺など、注目すべき副葬品も出土。ただし、棺(丸木舟)自体は、遺存状態が良くなかったのか、その構造についての詳細な記述はない。また、遺跡の調査成果と「舟葬」(舟に遺体を乗せて海の彼方に流すという埋葬風習)や神話の「天鳥船(あまとりふね)」との関連性についての説明が、十分に成功していないような印象を持った。斜め読みであるため、また再読し、再考したい。2020/07/13
もるーのれ
2
沿岸の洞穴で、古墳とも同様の遺物が出土するのは興味深い。また、学生の時分に調査に参加した安房地域の遺跡も紹介されていて、思い出深くもある。2020/04/05