内容説明
朝鮮戦争の傷跡が色濃く残る1960年代初頭のソウル。戦争で孤児となった主人公キム・ヒョンの心の友は、米軍のラジオ局から流れてくる最新のポップスだった。どん底の生活を続けていたヒョンは偶然の積み重ねで、憧れの龍山米軍基地内のクラブステージにギタリストとして立つことに―。新世代の実力派作家がK‐POPのルーツである60年代音楽シーンの熱気と混沌を鮮やかに描く。
著者等紹介
イジン[イジン]
李眞。1982年、ソウル生まれ。大学ではデザインと映像理論を専攻。2012年、長編小説『ワンダーランド大冒険』が第六回飛龍沼ブルーフィクション賞を受賞し、小説家デビュー。2017年、三作目の長編小説となる『ギター・ブギー・シャッフル』で第五回秀林文学賞を受賞
岡裕美[オカヒロミ]
同志社大学文学部卒業、延世大学校国語国文学科修士課程卒業。2012年、キム・スム「誰も戻って来ない夜」で第十一回韓国文学翻訳新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りつこ
33
朝鮮戦争で孤児になった主人公が米軍基地内のクラブステージに立つようになる。夢を追いかけ小さな成功を手にし恋をして失って…。舞台は韓国なのに既視感があるのは、米軍基地を舞台にしているからなのだろうか。「ベルリンは晴れているか」や「オウリィと呼ばれたころ」と同じような空気を感じる。音楽の才能に恵まれていたわけではなかったのかもしれないけれど、地獄のような暮らしから抜け出して自立できたこと、友情に恵まれたこと、憧れの仕事ができたことの喜びが彼のその後の人生を輝かせていることが伝わってくる。よかった。2020/07/09
日の丸タック
16
1960年代…日本も韓国も粗野で荒削りなエネルギーに溢れていた。 アメリカに占領されヤンキー文化に心酔し、酒と音楽とクスリに塗れて彷徨う。 退廃的だがどこか底しれない魅力に溢れた世界。 今の停滞しクールな人々と対極的な熱い生き方…暴力にアルコールにクスリ…ロックにジャンキー… 限りないエネルギーにハングリーなパワーを感じる。 飼い慣らされ、満たされた無欲な生き物からは感じられない命の息吹は、退廃と背中合わせ!2020/08/05
星落秋風五丈原
13
これを若い女性作家が書いたことが驚きだった。2020/07/27
Sachiko
2
朝鮮戦争後、朴正煕が政権をとったころの韓国ソウルの様子がわかって興味深かった。2020/07/15
モモンガ
2
朝鮮戦争、米軍駐留、群がる人々。この本では、米軍クラブに娯楽を提供するバンドマンの視点で描かれます。日本のバンドマンの物語とそっくりで、韓国でも同じような混乱をくぐり抜けて、今のK-POPにつながる基礎が築かれたんですね。2020/06/11
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