内容説明
新右翼とは何か?エリートとは何か?遺伝や人種と「没落」の関係とは?大衆の台頭がエリートを失墜させ、移民流入が民族に危機をもたらすと唱える、ドイツの「没落の予言者」たちの系譜を辿る。
目次
第1章 二〇一〇年の黙示録―ドイツは自滅するのか?
第2章 ドイツの没落
第3章 自覚ある国民への道
第4章 人間工学的転回
第5章 大衆に対する不安
第6章 人口統計学と危機
第7章 言論闘争のパルチザンたち
第8章 偽りの予言者たち
著者等紹介
ヴァイス,フォルカー[ヴァイス,フォルカー] [Weiss,Volker]
1972年生まれ。19世紀から現在までのドイツの極右を専門とする歴史家、評論家。ハンブルク大学で歴史学の博士号を取得後、複数の大学での非常勤講師を経て、現在は新聞や雑誌での執筆活動を展開している
佐藤公紀[サトウキミノリ]
1978年生まれ。ドイツ近現代史、現代ドイツ政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、明治大学法学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
5
「スローターダイク…は、ミッシェル・フーコーに取り組むなかで、この近代の平準化傾向が、社会の進歩の表れなどではなく、本質的に国家権力の利益になることを裏づけようとする。そしてこの議論を経て、平等主義の神話を維持するために生み出されたのが、安定的な支配を必要とする社会国家だと考える…こうして、のちにスローターダイクの著作の中心の思想となるテーマに名前が与えられることになる。すなわち、「主体の抑圧の手段としての社会国家と税制」、あるいは…「金を吸い上げる怪物」としての国家である。」2023/10/15
takao
2
タイトルは、オルテガ『大衆の反逆』にちなんだものであろう。ようは、ヨーロッパ、なかんづく、ドイツの衰退に警鐘を鳴らす新右翼の動向を描いた本。 2020/11/08
ちり
1
“もし人種衛生学者やスローターダイクやザラツィンたちが、「優等者」の適者生存と「劣等者」の自然淘汰といった、自分たちの主張を実現したいのであれば、本来ならば自然のプロセスに任せておけばよいのだが、彼らはそうしない。彼は国家の介入によって、自然を操作しようとするのである。この介入しようとする意思は、もともとは生物学から分離したものであって、自己の権利拡大を求める啓蒙思想の伝統に属するものである。”2020/09/18