内容説明
俗世での人間の残酷さに対比するように、慈悲の祈りの深さと気高い働きがある。タイの言葉は、あるときには鋭い彫刻刀でえぐるように、またあるときにはやさしい絹の薄衣でくるむようにすべてを等しく記していく。ティク・ナット・ハンがその簡潔で流麗な言葉で読む者の心をマインドフルネスに誘う。
目次
俗世の章 迹門(メッセージ;青々と茂る庭園;ムードラ;経験;ぬくもりのために ほか)
涅槃の章 本門(巨鳥の羽音;ゆく手をはばむ美しき春;留め金をはずす;静寂;四月 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kota
7
世界的ブームのマインドフルネスを提唱する仏僧の詩集。二部構成の前半はベトナム戦争時のものが多く、悲愴、苛烈な詩に胸を衝かれ手が止まり、思わず天を仰いで絶句してしまう。癒しのためのマインドフルネスが流行りだが、彼は友や仲間を殺され、故郷を焼かれ、祖国を奪われた怒りと悲しみ、絶望の中で、人を再生させるマインドフルネスを見出す。それは泥の中で咲く蓮の花のように強く、美しい。後半は穏やかな、まさに「読むマインドフルネス」な詩が集う。詩としても、瞑想への誘いとしても、氏の内面的自伝としても大いに読む価値がある。2019/06/30
Taku Kawaguchi
0
考えるなあ⁉️2019/07/02
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- 和書
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