内容説明
奈良盆地中央に位置する弥生時代の大環濠集落、唐古・鍵ムラは列島の西と東を結び、七〇〇年間繁栄をつづけた。幾重もの環濠に囲まれたこの大集落によってクニへの道が築かれ、纒向遺跡へ、伝説の王宮の地へとつながってゆく。ヤマト王権が誕生する礎となった遺跡を解説する。
目次
第1章 弥生研究の基礎をつくった遺跡(はじまりは「鍵の遺跡」;証明された弥生時代の農耕;遺跡保存へ向けて)
第2章 明らかになる大規模弥生集落(唐古・鍵遺跡の建物構成;中枢部はどこか;多重環境と井戸;分村と墓)
第3章 拠点集落の生産力(土器・土製品の生産と交流;木器・木製品の生産;石器・石製品の生産;布・編み物製品の生産;青銅製品の生産)
第4章 唐古・鍵ムラの精神生活(描かれた弥生神話;清水風ムラは、唐古・鍵ムラの祭場か;記号土器;魔除けにされたイノシシの下顎骨;道教と禹餘粮)
第5章 唐古・鍵ムラの終焉とその後(ムラ環境の変化;唐古・鍵遺跡から纒向遺跡へ;王権誕生の地)
著者等紹介
藤田三郎[フジタサブロウ]
1957年、奈良県生まれ。同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。奈良県田原本町教育委員会文化財保存課長を経て、現在、田原本町埋蔵文化財センター長(田原本町教育委員会事務局文化財保存課主幹)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
14
ヤマトの吉野ヶ里(?)こと、唐古・鍵遺跡。最初の発掘を仕切ったのは、森浩一さんの師匠で(のちには訣別してしまったようだが)、橿原考古学研究所の初代所長だった末永雅雄。発掘の歴史も長く超有名な割に「これこそ決定版」と言う解説書が見当たらなかったのだが、満を持して「遺跡を学ぶ」シリーズに登場。纒向と箸墓がどのように成立したのかを考えるなら、ここを訪れないわけにはいかない。2019/06/09
うしうし
3
学史的・記念碑的な遺跡であることは承知していたが、最近、多重環濠の一部や大型建物が表示された史跡公園として新たに整備されことは本書で初めて知った。グーグルマップの航空写真などでも、整備の状況が確認できる。2019/06/24
-
- 和書
- 『一遍聖絵』の世界