内容説明
哲学とは、哲学者の専有物ではなく、すべての人が自らの生活の場に根ざして、世界と自分を批判的吟味の俎上にのせる知的営みでなければならない。「生きる場と哲学の結合」を謳い、在野の実践を続けてきた哲学学校によるユニークな哲学入門書。
目次
序論 生きる場からの哲学とは
第1部 生きることと哲学すること(民衆思想とその方法について;砂漠のなかのオアシス―沖仲仕の哲学者ホッファーに学ぶ、生きる場で哲学するためのルール;現代の仕事とアイデンティティ―対人的サービス労働のために;「子どもを産む」ことに関する事柄―自然から自由へ;「食の哲学」入門―フォイエルバッハを参考に「食と宗教」について考える)
第2部 生きる場からの思索と哲学(生と死とおひとりさまを考える;若き生活者たちに―学ぶことの意味について;新しい会社組織と幸福な生―幸せの吟味への一つのアプローチ;障がい者の生き方;農から現在を見る;存在しない仏に祈る―浄土仏教は生きているか;サラリーマン人生を終えた今、考えること)
第3部 生きる場と世界をつなぐための哲学再入門(全体主義とは何か―アーレント『全体主義の起原』を手がかりに;共有の廊下・中庭の哲学―プラグマティズム哲学入門;抽象と具体の狭間から;尊厳論エッセンス;「生活の吟味」としての哲学―『ソクラテスの弁明』を読む)
感想・レビュー
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amanon
5
アカデミズムから解き放たされた場で哲学をするということ。重箱の隅を突くような瑣末な議論に終始しがちな専門家による哲学ではなく、市井に生きる人の生の声で語られる哲学。実際のところ、哲学というより他の学問に近い論考も目につくが、それでも生きる場でいかに既存の意見に囚われずに思考を研ぎ澄ますか?というスタンスは息づいていると思う。自由に物が言える雰囲気が段々と圧迫されている感がある昨今、このような動きがあるというだけでも希望が持てる。やや左翼色が強いことに眉を潜めるむきがあるかもしれないが、この動きは貴重。2019/11/29
tu-ta
1
途中までしか読まずに図書館に返却。機会があれば、続きも読みたい。2022/04/24