内容説明
維新は「革新」、共産は「保守」。日本人のイデオロギー認識はいつから変わったのか?「右・左」、「保守・革新」、「保守・リベラル」…日本人の考えるイデオロギーの意味とは?55年体制の終焉とともに大変革期に入った日本政治をイデオロギーと世代間ギャップから検証した話題作!
目次
第1章 有権者におけるイデオロギーの変化
第2章 世代で捻れるイデオロギー対立
第3章 イデオロギーと投票行動
第4章 イデオロギーと政治参加
第5章 イデオロギー・ラベルの比較
第6章 改革志向と保守・リベラルから見る政党対立
第7章 日本における極右支持
第8章 若者の保守化?
第9章 おわりに―比較の中の日本のイデオロギー
著者等紹介
遠藤晶久[エンドウマサヒサ]
早稲田大学社会科学総合学術院准教授。博士(政治学)。1978年生まれ。早稲田大学政治学研究科博士後期課程単位取得退学
ジョウ,ウィリー[ジョウ,ウィリー] [Jou,Willy]
早稲田大学政治経済学術院准教授。Ph.D in Political Science。1979年生まれ。カリフォルニア大学アーバイン校政治学博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
28
巨大な保守政党だった自民党が内部分裂し、非自民連立政権が誕生した1993年、いわゆる55年体制は崩壊した。小選挙区制が導入され、二大政党制が模索されたものの、民主党政権の失敗から、第三極の乱立を招き、二度の野党の経験を経て現在自民党の一強が続いている。結果、「右派」や「左派」、「保守」と「革新」、そんな単純なイデオロギーラベルが通用しなくなって久しいが、そもそもそのラベルへの理解が世代によって大きく異なることを本書は教えてくれる。(つづく)2019/07/25
ムチコ
2
現行の制度や憲法を変えたいほうが「保守」を名乗り、それらを維持したいほうが「革新」と呼ばれていた長年の本邦政党の状況は、世代が下るにつれ(意味を失って)薄れて、若い世代にとって共産党はむしろ「左」でありながら「保守」に近い位置づけとなっているらしい。世代ごとの調査結果の分析を通じてイデオロギーと投票傾向の乖離について学ぶことが多かった。「極右という選択肢」を弱めるすべはないのかなあ。2019/08/29
たろーたん
1
2010年の世界価値観調査(1を左派、10を右派だとして、8・9・10が右派)からだと、30代以下で自分を右派だと思う人は日本だと10%程度、ドイツとオーストラリアがそれくらい。アメリカ、ニュージーランド、スウェーデンが20%程度。逆に左派は、日本だと20%に近付いており、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンが20%以上、アメリカは10%。こう見ると、世界も日本も左傾化しているし、日本の右派10%は世界的には少ない方。2025/03/12
たろーたん
0
日本の保守・革新のイデオロギーに与える影響は、外交安全保障政策の要素が強く、福祉や経済政策はマイナーらしい。イデオロギーは自民党への投票動機とはなるが、共産党にはならない。なお、低学歴な人ほど、イデオロギーに対する自己の位置から投票を行わない。意外だったのが、世界価値観調査(WVS)によると、90年代から日本の30代以下の右派は10%程度で、他国よりもむしろ低く、むしろ左派の方が20%に近づきつつある。日本の不思議は若者の保守化ではなく、自民党がどのように左派からの支持を取り付けているかの方である。2021/12/17
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