内容説明
縄文時代の3分の2、9000年近くを占める前半期(草創期・早期・前期)は謎に包まれている。鳥浜貝塚・東名遺跡などの注目低湿地遺跡で見つかった植物質遺物、とくに多量に出土した編みかごの研究と最新の自然科学分析から、高度な植物利用の知識と技術の起源を解き明かす。
目次
1 縄文時代の前半期ってどんな時代?―一万六〇〇〇年前から六〇〇〇年前まで
2 縄文時代の低湿地遺跡―鳥浜貝塚が教えてくれること
3 鳥浜貝塚から見えてきた縄文時代の前半期の植物利用
4 編組製品の技法と素材植物
5 八〇〇〇年前の編みかごから何がわかるのか?―佐賀県東名遺跡
6 東名遺跡と三内丸山遺跡のかごを復元する
7 縄文のかご作りに刃物はいらない?下宅部遺跡の四〇〇〇年前の編みかご
8 下宅部遺跡と正福寺遺跡のかごを復元する
9 鳥浜貝塚から半世紀―さらにわかった!縄文人の植物利用
著者等紹介
工藤雄一郎[クドウユウイチロウ]
東京都立大学大学院人文科学研究科修了、博士(史学)。専門分野:先史考古学、年代学、第四紀学。現在、国立歴史民俗博物館研究部考古研究系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
14
年縞博物館の水月湖堆積物展示だけでなく、若狭三方縄文博物館 DOKIDOKI館にある鳥浜遺跡関連展示も見に行かねば!!!2020/04/12
Meme
12
ウィリアムモリスが「有用でもなければ美しくもないものは家においてはいけない」と言っていたが、かごなどの縄文文化はその精神に通ずるものだった!というかウィリアムモリスがその精神性の上に成っているのか!? 2023/12/27
やま
12
縄文人の植物利用、第2弾。腐りやすいことから残りにくい植物でつくられた遺物を検証。特にかごについて丁寧に考察しています。特に縄文時代に使われたカゴを取り上げ、どんな植物からつくられたか、そしてその復元に取り組んでいます。縄文時代というと土器や石器がメインみたいですがカゴが大いに使われていたんですね。縄文時代感が一歩前進です。2020/09/01
takao
2
ふむ2023/02/07
Kouhei Higuchi
1
ここまでわかった縄文人の植物利用の続編としてでた本。この本では特に繊維として、縄、かごなど編むことに関してかなり詳しく書かれています。 縄文人の編む技術がここまでというか現代以上の凄さがあり、その素材へのこだわり、素材の採集時期や素材の下処理加工など編む前の技術もここまでやっていたかと思わせる。 現代の繊維産業に関わる人にはおすすめの一冊2024/08/25