内容説明
法隆寺金堂壁画とならぶ古代の彩色仏教壁画がみつかったことで有名な鳥取県米子市の上淀廃寺。バラバラに出土した壁画片と塑像片の探究から、当時の金堂壁画と仏像群が復元された。千三百年の時の流れを飛び越えて、いまよみがえる白鳳寺院の華麗なる堂内壮厳。
目次
第1章 彩色仏教壁画の発見
第2章 よみがえる白鳳の壮厳(奇跡の壁画出土;金堂北側の壁画;金堂東西の壁画;堂内にあふれる塑像仏)
第3章 特異な伽藍配置(三塔一金堂;第三の塔は建ったか?;中心伽藍を掘る;寺院地をさぐる)
第4章 出土瓦が語るもの(上淀廃寺はいつ建てられたのか;周辺寺院・国分寺とのつながり;山陰型鴟尾)
第5章 造営者をさぐる(金堂内壮厳の再現;背後の豪族居館;上淀廃寺前史;最後の前方後円墳)
第6章 上淀廃寺の終焉(上淀廃寺炎上;白鳳寺院の整備と活用)
著者等紹介
中原斉[ナカハラヒトシ]
1959年、鳥取県米子市生まれ。國學院大學文学部史学科(考古学専攻)卒業。鳥取県教育委員会文化財課歴史遺産室長、鳥取県立むきばんだ史跡公園所長を経て、現在、鳥取県埋蔵文化財センター所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Takashi
2
壁画片の発見で一躍全国に名を知られることになった上淀廃寺。ここを捨宅寺院として理解し、この地域の先進性と関連づけて発掘調査であきらかになった上淀廃寺の特徴を丁寧に説明する。三つの塔跡、北塔は建立されることがなかったのかもしれないが、中塔・南塔は建っていた。両塔は並存していた可能性が高く、仏舎利と法舎利とを別に奉安していた可能性を示唆する指摘は重要だ。双塔式伽藍の意味を考える上でも重要、かつ新羅仏教の影響も感じ取らねばならないのだろう。この本を片手に、整備された寺院跡と展示館に是非足を運んでほしいと思う。2019/04/30
うしうし
0
彩色仏教壁画・三塔一金堂・上淀廃寺式軒丸瓦を中心とする瓦類・山陰型鴟尾など、鳥取県米子市の上淀廃寺跡の調査と出土遺物を詳しく解説。寺院の造営者は伯耆黒汗入郡の郡領氏族とする。史跡整備の状況や丈六仏を本尊とする三尊像の塑像と金堂内部の堂内荘厳が復元されたガイダンス施設(上淀白鳳の丘展示館)も紹介。2017/07/08