内容説明
印旛沼を望む千葉県の下総台地にヤマト王権の中央で前方後円墳が姿を消したころにつくられた最後の前方後円墳がある。法隆寺の仏像宝冠を彷彿とさせる金・銀の冠飾りや金銅製馬具の副葬は何を意味するのか。古墳時代の終わりに頭角をあらわした地域勢力の姿を描きだす。
目次
第1章 龍角寺古墳群とは(なぜ印旛の地に巨大古墳が;群集する前方後円墳;古墳時代後期の龍角寺古墳群)
第2章 浅間山古墳の発掘(未調査古墳を開封する;白壁の横穴式石室;高貴な漆塗木棺;前庭部の様子)
第3章 浅間山古墳の副葬品(古墳時代の伝統的な組成と仏教美術の影響;金銅製・銀製の冠飾;金銅製馬具;いつ築造・埋葬されたのか)
第4章 地方豪族の発展(大型前方後円墳の隆盛;終末期大型方墳・円墳への展開;独特な石室と地域間交流)
第5章 古代への胎動(「印波」首長墓の交替;力をつける地域勢力;ヤマト王権の地方政策と龍角寺;香取海と「印波」の首長)
著者等紹介
白井久美子[シライクミコ]
早稲田大学第1文学部史学科卒業、千葉大学大学院社会文化科学研究科後期修了。博士(文学)。千葉県教育庁文化財課、千葉県文化財センター、千葉県史料研究財団等に勤務し、現在、千葉県立房総のむら風土記の丘資料館主任上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
9
群馬・栃木・茨城・福島とめぐってきたので、次はいよいよ千葉である。香取海 ( http://www.i-kouiki.jp/imbanuma/environment01.html ) があったころ、下総台地は東京湾との間をつなぐ要衝の地であった。威信を示す建造物が古墳から寺へと変わりつつある時代の、この地のあり方を学ぶには最適の書。2018/12/02
サンチェス
1
前方後円墳といえば、”ヤマトの大王”辺りを思い浮かべる人が多いと思う。しかしそれは古墳時代中期まで。それ以降近畿では大前方後円墳は造られなくなる。ではなぜ、関東ではこの頃から前方後円墳の分布と規模が上昇するのか?そのヒントとなるのが、古墳時代最後の大前方後円墳である浅間山古墳、方墳では天皇陵を超える規模をもつ岩屋古墳、関東最古の寺院である龍角寺の近接する3遺跡である。文献には出現しない関東地方が、古代においてどのような立ち位置だったのか、近畿を中心に語られる古墳時代の異なる側面がわかる。2017/01/06
ナオ
1
見逃していた資料を発見した。2016/09/19
うしうし
1
千葉県印旛郡・成田市に所在する龍角寺古墳群を紹介した書籍。近畿地方で巨大古墳が造営されなくなった時期以降に出現する浅間山古墳(前方後円墳)や岩屋古墳(大型方墳)が注目される。前者の年代は7世紀前半で、止利派仏師が製作に関与した「道上型」毛彫馬具や百済由来の金銅製・銀製冠飾が出土。後者は貝化石砂岩の切石を使用した石室をもつ。その他、周辺地域を含めた勢力の分析や地域色をもつ人物埴輪などを紹介。2016/09/13
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