内容説明
アフリカを旅立ち、東アジアに拡散した現生人類は、四万~三万年前、海を渡って沖縄の島々へ到達した。石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡と沖縄島のサキタリ洞遺跡からみつかった人骨化石や貝器から沖縄人類史の謎に迫る。
目次
第1章 港川人をめぐる謎(港川人の発見;大山盛保の軌跡;化石の島・沖縄)
第2章 白保竿根田原洞穴遺跡の発掘(闇の中の骨;未知の時代を掘る;姿をあらわした旧石器人骨)
第3章 サキタリ洞遺跡の発掘(カニの洞穴;石器と貝器の発見;貝は語る)
第4章 沖縄人類史の謎に迫る(見えてきた謎の答え;東アジア縁海地域の人類史;島に生きた旧石器人)
著者等紹介
山崎真治[ヤマサキシンジ]
1977年高知県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(文学博士)。現在、沖縄県立博物館・美術館博物館班主任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
39
【沖縄48】沖縄をきっかけに眼を開かされたものが何点もあるが、その一つが旧石器人だ。縄文人に先駆けて豊かな文化をもつ旧石器人は人類の偉大さを知らしめてくれる。なぜ沖縄かと言うと、地質がサンゴ礁により石灰岩層が多く人骨がよく保存されるからだ。続々と発掘されている旧石器人の人骨の発掘者による最新レポートであり、沖縄旧石器人の概説書にもなっている。■新たに発掘された2遺跡は、観光地の中というのが興味深い。ひとつは新石垣空港の建設にともなって発見された白保竿根田原洞穴遺跡。遺跡保存のため空港建設計画が変更↓2021/12/31
月をみるもの
12
石灰岩に富む沖縄では、酸性土壌の日本で残りにくい人骨がしっかりと保存される一方で、石器がほとんど出て来ない。アフリカから出て来たホモサピの海洋進出最前線で、いったいなにが起きていたのか? この本が出た後に、サキタリ洞でなされた大きな発見と研究の進展については、こちらをどうぞ → https://bookmeter.com/books/142049772019/12/21
やま
8
近年では台湾から与那国島への人力での渡航実験や、相次ぐ旧石器人骨の発見などで沖縄の旧石器時代は注目を集めています。沖縄で発見された旧石器人についてその経緯など分かりやすく取りまとめられていて、読んでいて胸が熱くなりました。2015年発行の本ですがその後の進展も合わせて興味深いところです。 2020/06/16
うしうし
2
石器がなく人骨のみが発見される沖縄の不可思議な旧石器時代遺跡・・そうした謎が、近年の発掘調査によって徐々に解明されている。石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡や沖縄島のサキタリ洞穴遺跡の成果が紹介され、前者が墓として使用されたことや後者から出土した貝器がその地域に人類が適応した特徴的な遺物であることなどが指摘されている。また少数出土する石英製石器にも言及する。1970年代の港川フィッシャー遺跡発見以来、停滞していた沖縄の旧石器時代研究が確実に進展し、新たな研究成果が期待できる段階に入ったことを実感できる本である。2016/01/16