内容説明
70年近く続いた社会主義体制が崩壊し、急激な変化に晒されたモンゴル国で、教線を急拡大していった福音派キリスト教。複雑な要因が絡み合うなかで起こった「宗教の越境」という現象を丁寧に解きほぐし、流動化が増す現代社会において宗教を捉える新たな視座を提供する。
目次
第1章 福音派の越境をどう捉えるか(モンゴルの民主化とキリスト教;ポスト社会主義をどう定位するか;宗教の越境をどう捉えるか)
第2章 「民族」をどう越えるか(ポスト社会主義モンゴルにおける「民族」と「宗教」;宗教言説と福音派の位相;「神」の訳語を通して見る福音主義と民族主義の葛藤)
第3章 「宗教」をどう越えるか(家庭内祭祀の持続と変容;福音派への改宗と家庭内祭祀)
第4章 越えて結ばれるもの(福音派教会における援助と信仰;祈りの共有と「救い」の共同性;越境する共同性―在米モンゴル人教会)
福音派の越境が意味するもの
著者等紹介
滝澤克彦[タキザワカツヒコ]
1975年生まれ。2008年、東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)、2008年、現在、長崎大学多文化社会学部准教授。宗教学、モンゴル研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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funuu
9
モンゴルは300万人。半数が首都ウランバートルに暮らす。世界でももっとも大気汚染がひどい都市のひとつ。例えば、「父はキリスト教に改宗することがなかったから、残念ながら地獄に行くと思う。」と言ってしまうような福音派の感覚は、仏教徒にはなかなか理解できない。あらためて、世界に布教してきたキリスト教の強さを知らされる。2015/06/08
活字の旅遊人
7
キリスト教福音派、おそるべし。「世界史」は、キリスト教による侵略史という面があること、それは現在進行形であること、日本もいろいろ抵抗してきたけど徐々に染まってきていること、なのに多様性を唱えていること。