内容説明
「正しい」しくみにもとづき、よかれと思って進められる環境保全策。ところが、現実にはうまくいかないことが多いのはなぜだろうか?地域社会の多元的な価値観を大切にし、試行錯誤をくりかえしながら、柔軟に変化させていく順応的な協働の環境ガバナンスの可能性を探る。
目次
なぜ環境保全はうまくいかないのか―順応的ガバナンスの可能性
1 環境保全政策の何が問題なのか?
2 試行錯誤の現場から―多元性に満ちた地域社会のなかで
3 地域社会の順応性と強靭さ
4 順応的ガバナンスに向けて―相互作用のダイナミズムと持続可能性
「ズレ」と「ずらし」の順応的ガバナンスへ―地域に根ざした環境保全のために
著者等紹介
宮内泰介[ミヤウチタイスケ]
1961年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。北海道大学大学院文学研究科教授。専門は環境社会学、地域社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zeniO
2
環境保全プロジェクトのガバナンスについての本だが、複数の人間が関わるプロジェクトがどうしてうまくいかないのか?という普遍的な問いに答える本となっている。とても面白い本。 詳細なレビューはブログに書いています。2013/05/27
千日紅
2
環境保全のためには「順応的ガバナンス」というあり方に注目するべきだという。順応的ガバナンスとは、「環境保全や自然資源管理のための社会的しくみ、制度、価値を、その地域ごと、その時代ごとに順応的に変化させながら、試行錯誤していく協働のガバナンスのあり方(p.26)」である。失敗事例も含めて多様な事例が紹介してあり、大変興味深かった。2013/05/11
ふれんどぷらむ
1
生活が懸かっている当事者たちは、私利的、ときに感情的に問題とかかわる。市民主体では時間もコストも膨大。双方向的な議論を設けて、多元的な利害があることを「納得」し「理解」してもらう。不満を抱くのは、リスク自体ではなく、リスクが理不尽に押し付けられることであるほうが多い。時間をかけて市民参加を促すことで、全員の思い通りの会を得るのは不可能としても、全員が理解・納得できる解が得られる。2017/08/13
CAP
1
日本の環境保全の失敗例とそこから得た教訓を元に、自分のアフリカでの活動を振り返り、次につながる改善点を見出したいと思い読み始めた本。 こうすればうまくいく、という定石を得られる本ではない。分かりやすい解や手法論が示されるわけではない。なので読後に、次はうまくやれそうだ、これで次は効率的にうまくできるぞ、という爽快感や開放感を得られる類の本ではない。しかし、引き出しが増え、少し自分の幅が広がる気がする。柔らかくしなやかになれる気がする。読後には現場に戻りどっぷりと浸かりたいと思えてくる。そんな本。 2015/01/31
vonnel_g
1
環境保全はいいけれど、そこには人もいるので理論どおりやっていくだけでは破綻する。やはり現場を見ないと、は援助や全般に言えること。現場にいる研究者たちが「うまくいかない」の実例を通じ、うまく行くための方法を考察する。大変刺激的な内容。2013/11/22
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