内容説明
遙か南アルプスの山々を望み、天竜川へとつづく丘の突端、残された重厚な石斧と美しい尖頭器の数々。はたして実用品なのかシンボルか、なぜこの地に置き去りにされたのか。縄文時代の暁を告げる石器群の謎を読み解き、狩猟採集民の世界観(コスモロジー)に迫る。
目次
第1章 神子柴遺跡の発見(姿をあらわした石器群;神子柴石器カタログ;遺志をつぐ調査研究報告書の刊行)
第2章 謎の探究へ(謎めいた石器の配置;石材解明の旅;どのように作られ、はたして使われたのか)
第3章 神子柴文化を追う(探求者たち;時代を探る;神子柴文化の軌跡)
第4章 狩猟採集民のコスモロジー(神子柴遺跡の時代;神子柴遺跡とは何か)
著者等紹介
堤隆[ツツミタカシ]
1962年、長野県佐久市生まれ。國學院大學大学院博士後期課程修了。博士(歴史学)。現在、長野県御代田町浅間縄文ミュージアム主任学芸員、八ヶ岳旧石器研究グループ代表、明治大学黒耀石研究センター研究員。第13回藤森栄一賞(1992年)、第16回岩宿文化賞(2007年)受賞。専門は旧石器考古学、奈良・平安時代の考古学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
16
芹沢長介による本の木遺跡発掘「冬の陣」と、山内清男による「夏の陣」。この遺跡が旧石器時代のものなのか、それとも縄文草創期なのかという議論は、そのまま神子柴遺跡の年代論争へと引き継がれる。石器という人類最初の道具を「財」として交換するシステムの確立と、土器という新しい道具の導入。どっちも人類史の画期であることは間違いない。2021/11/10
ステビア
15
旧石器時代から縄文時代への移行期2025/01/31
月をみるもの
13
先日せっかく伊那まで行ったのに、石器も現地もみることかなわず。次回は必ず両方を訪問することを固く決意。2023/05/24
うしうし
5
職場にて1日で読了。長野県神子柴遺跡の概説書で、遺跡から発見された石器87点は重要文化財。全体的に情緒に流れすぎる記述があることが少し気にかかる。神子柴遺跡の性格は「消費行為を伴う居住地であり、交換のための各地からの物資を備えたデポとしても機能」と評価する。 ・黒曜石製の尖頭器には使用痕があり、ナイフのような機能でも使われていた。 ・大型の局部磨製石斧には使用痕がない。 ・小型の局部磨製石斧には、刃の再生が行われていることから、実際に使用されていた。(p51)2021/05/29
pepe
2
不思議な世界があるものだ。2018/09/12
-
- 和書
- 西洋倫理思想の考え方