内容説明
古代の大豪族・葛城(かづらき)氏が勢力を誇った奈良盆地西南部、金剛山のふもとから「高殿」、「祭殿」、水のまつりの祭祀場、武器工房、渡来人の住まいなどが配置された巨大集落がみつかった。ヤマト王権を支え、時に対峙した大豪族の支配拠点の実態を解明する。
目次
第1章 葛城の王都(葛城氏と南郷遺跡群;「大王」と「王」)
第2章 姿をあらわした「王都」(大阪・奈良・和歌山を結ぶ要衝の地;巨大集落あらわる;「王都」の実態;葛城氏隆盛の前夜)
第3章 王のまつり(王の「高殿」;王の「祭殿」と水のまつり;首長の住まい)
第4章 王をささえた手工業生産(武器を生産した特殊工房;鉄と塩の交易センター;親方層の住居と渡来人;人びとの生産活動;人びとの墓)
第5章 葛城の王を追って(「葛城高宮」はどこか;王の墳墓;葛城氏の支配領域;葛城氏以後の南郷遺跡群)
著者等紹介
坂靖[バンヤスシ]
1961年生まれ。同志社大学大学院文学研究科修了、博士(文化史学)。現在、奈良県立橿原考古学研究所附属博物館総括学芸員
青柳泰介[アオヤギタイスケ]
1968年生まれ。同志社大学大学院文学研究科修了。現在、奈良県立橿原考古学研究所主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
14
記紀に頻繁に登場する葛城氏が、ちゃんとここに実在していたことを示す遺物と遺構の数々。いったんは大王家に滅ぼされるものの、その地盤は「皇后を出して外戚になることで権力を握る」という手法とともに蘇我氏に受け継がれる。ほとんどの遺構が埋め戻されて棚田に戻ってるということなので、その田んぼの間を、この本に載ってる発掘地図を見ながらゆっくりと歩いてみたい。 表紙のような AR 表示ができる端末(できれば Hololens みたいなかぶるやつ)とともに。2022/04/08
もるーのれ
3
古代豪族・葛城氏の本拠地と推定されている南郷遺跡群について、これまでの調査・研究の成果が分かりやすく解説されている。広大な遺跡群の中で、儀礼の場・居住の場・手工業生産の場・葬送の場がある程度分かたれている。印象に残ったのは極楽寺ヒビキ遺跡での巨大建物で、家形埴輪になるような建物が実際に存在していたと思うと感慨深い。それにしれも、葛城氏の南郷遺跡群、物部氏の布留遺跡など、古代史に名を残す豪族の本拠地は規模がもの凄い。2020/08/13
うしうし
3
県立図書館で借りる。古墳時代中期、5世紀代の古代葛城氏に関連する南郷遺跡群をカラー図版で紹介した概説書。中でも「高殿」遺構がある極楽寺ヒビキ遺跡は圧巻。「高殿」は室宮山古墳出土家形埴輪に見られるような朱塗りの板柱をもつ建物遺構。著者は室宮山古墳→掖上鑵子塚古墳の変遷を考え、南郷遺跡群を経営していた人物の墳墓は後者とする。2014/06/14
ナオ
0
全体像が非常に良く分かる、すばらしい本。2012/03/14
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