内容説明
伝説と謎に包まれた“流浪の民”ロマ民族(ジプシー)。その真実の姿を追い求めて―。東欧・バルカン半島からイベリア半島に至るヨーロッパ各地、そして一千年前に離れた故地とされるインドのタール砂漠まで。差別や迫害のなかを生きる人々の多様な“生”の現在をとらえた珠玉のノンフィクション。
目次
1 ミュロと少年―ユーゴスラビア「血の戦争」のかたわらで
2 少数民族「ロマ」が刻んだ足跡―タール砂漠から始まった物語
3 ツィガーニの村で―ルーマニアの音楽師と「ジプシーの王」
4 バルカンの鏡―コソボ紛争と二つのジプシー
5 巡礼と祭りと再会―南フランス・サントマリーの守り神
6 アンダルシアで出会った日なた―フラメンコのゆりかご
7 流浪の果ての先に―マドリッドの「チャボーラ」と「ピソ」
著者等紹介
木村聡[キムラサトル]
1965年生まれ。フォトジャーナリスト。新聞社の写真記者を経て、1994年からフリーランス。国内外のドキュメンタリー取材を中心に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さたん・さたーん・さーたん
1
写真は言うまでもないが、文も大変ドラマティックで、「ジプシー」という存在にぐいぐい引き込まれた。とはいえ著者が旅先で実際に体験した出会いや、写真に収められた人々が生きる日々に比べれば、そんな劇的さは消し飛んでしまうような熱量なのかもしれないが。この本に込められた、ほとばしってあり余る彼らの生き様が垣間見えた。2015/09/20
ソクラテスくん
0
ロム(ジプシー)のどこか人間的で、また非人間的な実像に迫った本。インドの伝承に言う、「おまえたちを、二度と同じ土地で眠らせないように云々」という呪いのリアリティが解る。2011/12/05
イッセイ
0
ジプシー、またはロマという民族の現代の姿を追いかけた本。彼らは“流浪の民”ともいわれ、流れゆく先々で虐げられることが多いが、著者の写真からは優しく思慮深い性格がうかがえる。実際は、歴史的にか習慣的にか、話を大げさにしたり、あえて嘘をついたりすることがあるらしいけれど(R)2011/02/03