内容説明
まっとうな社会へ、私たちに何ができるのか。湯浅誠氏が、若者たちへ語りかけ、金子勝氏との対談で論点をえぐり出す。
目次
1 生きること、働くこと、そしてつながること―講演 湯浅誠(ある派遣労働者;座れなかった人ではなく椅子の数に注目する;中間層がやせ細り、貧困層と富裕層が増える社会 ほか)
2 若者へのメッセージ―対話 湯浅誠・学生(他人を「巻き込む」ということ;人を支えるということ;政策に必要なこと ほか)
3 「社会の貧困」を打破する―対談 湯浅誠・金子勝(派遣村で変わったこと、変わらないこと;拡充しないセーフティーネット;みんな派遣労働の本当の姿を見ていない ほか)
著者等紹介
湯浅誠[ユアサマコト]
1969年生まれ。NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長、反貧困ネットワーク事務局長。2008~09年年末年始の「年越し派遣村」では村長を務める
金子勝[カネコマサル]
1952年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授
大高研道[オオタカケンドウ]
1969年生まれ。聖学院大学政治経済学部コミュニティ政策学科准教授
高端正幸[タカハシマサユキ]
1974年生まれ。聖学院大学政治経済学部准教授をへて、2009年4月より新潟県立大学国際地域学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みなみ
3
派遣村のことは覚えていて、湯浅誠さんは最近、子どもの貧困について多く語っている方なわけだが、派遣村の村長が湯浅誠さんだったと、この本を読んでようやく繋がった(^_^;)自己責任論は何も変えない、改善しないというのがインパクトが強い。2018/01/29
pom
3
金子勝教授のことを初めて知った。曰く、グルーピィズムは実は排除的な社会で戦前とあまり変わってない、若い人も空気を読めみたいに言い最初から発言を抑制するような。排除されるのをおびえる社会だから学校社会もそうなる…うーんすごく納得! 非正規社員を増やしワーキングプアが増えモノを買わず、技能やノウハウを担う人間を育てられなくなるアリ地獄 どうやったらみんなが食っていけるかポジティブなビジョンを示す。孤立して緊張感を持って創造的な仕事をすると充実感を感じるとか〜うーんすごい!!湯浅氏の本なのに金子教授に持って2013/12/31
りょう君
2
2008年末に日比谷公園にて「年越し派遣村」で炊き出しをやった筆者は社会活動家として世に認められるようになった。派遣切りによる「失業」と社会保障の不備による「貧困」を現代の社会問題として提議する。筆者には大学の教授としてではなく社会活動家として今後も活躍してもらいたい。飛躍するが、彼はピケティ理論による格差社会をどう考えているのだろう?2015/04/24
YayoiM
2
湯浅誠さんと金子勝の対談という豪華な聖学院大学の学生さん向けに行った講演の記録本。 進路指導部室には大学から宣伝で送られて来たものが山積みになっているのだが、たまたま本棚整理をしてて発掘したので読んでみた。 いつもの湯浅さんの著書に比べると超・簡単バージョン。 「ヨーロッパで賃金カーブがフラットでもやれているのは、家計の支出がフラットだから」という指摘だけメモ。 全体の印象では、2009年出版で、リーマンショックの大津波が来たときだから、危機感が現在から見ると激しく、かつ深い。金子さんも、対談だからか2013/03/14
すのう@中四国読メの会コミュ参加中
2
ニートの中にでも、社会にNO!と言っている面と「社会に出たいのだけれど出られない」という面がある。それを解きほぐさなければならない。私達は、簡単なことが好きだ。単純化した、耳障りの良い言葉、キャッチフレーズに引き付けられてしまう。しかし、現実は複雑に絡み合っていて、問題を隠すためにその言葉を使っているのかもしれない。それに気を払いながらも、本当に大切であることは忘れずに生きたい。2012/10/02