内容説明
東京大学・本郷キャンパスは戦火をまぬがれ、その後急激な再開発がおこなわれなかったため、江戸時代の遺構が良好な状態でのこされていた。上は藩主から下は奉公人まで数千人は暮らしていたといわれる「江戸の小宇宙」加賀藩本郷邸の姿を考古学から明らかにする。
目次
第1章 発掘された江戸屋敷
第2章 御殿空間を探訪する(溶姫の御守殿;藩邸の中枢・表御殿;隠居御殿;庭園)
第3章 詰人空間を探訪する(東御門と東御長屋;足軽・聞番長屋;上級藩士が暮らした八筋長屋)
第4章 考古学からみた藩邸の暮らし(藩主の饗応;藩士たちの生活道具;ゴミが語る暮らし;便所が語る暮らし;遺物が語る暮らしのうるおい)
第5章 江戸のミクロコスモス
著者等紹介
追川吉生[オイカワヨシオ]
1971年5月5日東京生まれ。明治大学大学院博士前期課程修了。明治大学考古学博物館での嘱託勤務を経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科助手。日本考古学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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月をみるもの
16
江戸時代なんていくらでも文献あるんだから考古学の出る幕あんの? とか考えていた自分をきびしく叱責したい。さらに言うと、赤門と古地図見て、はいはい本郷は加賀藩邸だったのね、弥生は水戸藩なんでしょ、、、とか知ったかぶりしてた自分は校庭を三周くらいすべきである。本郷三丁目交差点から、かつての石垣をたどっていくと東御門と東御長屋にたどりつく。絵図と発掘によって得られる情報をあわせると、そこに江戸藩邸に出向してきた武士たちのワンルームでの生活が立ちあらわれるのであった。湯殿も各部屋にあったってホンマ?2023/06/17
インテリ金ちゃん
2
明治はまだしも、江戸時代の暮らしは想像がつかない。江戸考古学で知見が増えるとよいね。女子用のトイレから白粉の鉛が検出!?。2~300年後の人からDNAによくないものを平気で食べていたの!?と驚かれないようにしないと...2016/09/19
rbyawa
0
f210、大雑把に北陸の金沢などを含んでいて非常に裕福だった、ということだけが薄っすらと知られている「加賀百万石」の江戸屋敷の発掘作業と、その発掘品から当時の生活を再現する、というのが主題の本で、ある程度江戸に興味があったら面白いんじゃないですかねこれ。ただ赤門が将軍息女の腰入れの時に作られたとか、国許から魚を直送してよく食べていたとか、一般的な大名屋敷の生活と同水準だったのかは怪しいところがあるかなぁw というか実際、リサイクルが盛んとは言い難いほどにゴミが多いよこれ、おかげでわかりやすいんだろうけど。2015/09/26
陸
0
図書館。いかにも発掘作業が多くて難しかったけど、それが生活に絡んでいるから楽しい。御殿や長屋の間取りも面白い。何度も火災で焼失していることには驚いた。2014/06/10
げんさん
0
東大キャンパスである加賀藩江戸上屋敷の発掘調査の記録。写真が多く、楽しめた