内容説明
戦場で手柄をたてようと出かけた男が、途中で戦争のために田畑を荒らされて打ちひしがれている村人の姿を見て、戦争に行くのは止めて、村人を励ましながら復興への手助けをします。
著者等紹介
新美南吉[ニイミナンキチ]
1913~1943年。愛知県生まれ。雑誌『赤い鳥』に「ごん狐」をはじめ、多くの童謡、童話を発表した。ほかに、少年小説や民話的メルヘン等、すぐれた創作活動を展開したが、二十九歳で早逝
鈴木靖将[スズキヤスマサ]
日本画家、創画会会友。1944年、滋賀県大津市に生まれる。万葉集をモチーフに絵を描き続けている。全国の万葉ゆかりの地を訪ねて万葉画展を開催。万葉のルーツを訪ねて、韓国各地、中国各地で万葉画展開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モリー
72
平和な時代に平和を希求する物語を書くことは容易ですが、「国民の間にも戦争モードが盛り上がって」いる最中に戦争への参加を踏みとどまる物語を書くことは、相当勇気のいることだったのではないでしょうか。作品が生み出された時代背景を知ることは、作者が作品に込めた想いをよく知る上で大切な事だと感じました。2021/02/02
とよぽん
44
小林多喜二が拷問の末に虐殺された1933年の事件。それを知って衝撃を受けた南吉が言論弾圧の強まる暗い時代に抗して書いた、”非戦”の思いが込められた貴重な作品だ。主人公の「おとこ」の表情が、その時々の感情を豊かに物語っている。2021/02/08
ヒラP@ehon.gohon
15
昭和10年という時代に、新美南吉がこのような反戦童話を書いていたことに驚きました。 南吉は大学4年生、満州事変がおごり戦争ムード一色、小林多喜二が拷問の末虐殺された時代です。 戦争に疑問を持った若者という設定は、南吉にとってとても危険な発想だったと思います。 今の時代に、このようにして掘り起こされたことに、とても大きな意味合いを感じます。2016/06/14
ヒラP@ehon.gohon
14
中学一年生の読み聞かせ候補にチョイス。2018/06/02
退院した雨巫女。
12
《調剤薬局》【再読】←2025.4.3. 拾ったラッパを戦争のためではなく、復興の為に使う方が、絶対によい。2020/02/07