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出版社内容情報
天才と称揚される一方、1970年代以降の作品は「つまらなくなった」とも言われる一面的な評価をくつがえし、マンガという表現形式の多様性とその可能性を晩年まで追求した意義を再評価する。今日も上昇し続ける石ノ森作品のポテンシャルの高さを指し示す。
はじめに――いまなぜ石ノ森章太郎か
序章 マンガとは何か――その表現形式と身体性
1 近代芸術、「モダン」の産物としてのマンガ
2 手塚治虫と石ノ森章太郎
3 身体性という概念――〈記号の身体〉と〈生身の身体〉?
4 二〇〇〇年代以降のマンガ批評、研究――「データベース消費」の呪縛
第1章 流動的身体のせめぎ合い――「リボンの騎士」と「二級天使」
1 手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎――天使をめぐる表象
2 手塚治虫「リボンの騎士」――流動的身体の内実とその隠蔽
3 石ノ森章太郎「二級天使」――流動的身体と神の提示
第2章 マンガの制度――初期作品での「内面の発見」と「風景の発見」
1 「個性」とは何か
2 東京進出――「漫画少年」廃刊と「少女クラブ」
3 「龍神沼」『マンガ家入門』――「体系化」と制度への意識
4 「幽霊少女」――「内面の発見」と「風景の発見」?
5 U・MIA作品、「龍神沼」『マンガ家入門』――「実験」と「体系化」と認識の変容?
6 「ジュン」「佐武と市捕物控」――「内面の発見」と「風景の発見」?
第3章 創る者/創られる者――「サイボーグ009」における「神々」との闘い
1 創る者(=「完全」)/創られる者(=「不完全」)という枠組みの呪縛
2 前史?――「LIFE」
3 前史?――姉・小野寺由恵
4 前史?――サイボーグを描く意義
5 「誕生編」?――ロボットとの差異とは
6 「誕生編」?――「ロボット」から「サイボーグ」へ
7 「暗殺者編」「放浪編」「ベトナム編」――被差別者としてのサイボーグ
8 「ミュートス・サイボーグ編」「地下帝国“ヨミ”編」――結論?
9 「天使編」「神々との闘い編」「完結編」――結論?
第4章 個から集団へ――後期作品における多様性と可能性の拡大
1 「モダン」(近代)/「ポストモダン」(ポスト近代)の乗り越え
2 トキワ荘、新漫画党の影響
3 「仮面ライダー」?――匿名的ヒーローの誕生
4 「仮面ライダー」?――形式と様式の浸透と表現の拡大
5 「HOTEL」『マンガ日本の歴史』――ヒーロー不在の時間と空間
終章 「歴史」の解体と「可能性」――サブカルチャーの戦後日本
1 「手塚さん」とは
2 手塚治虫の死――呼称の変容
3 「萬画宣言」――その意味
4 戦後日本とサブカルチャー――おわりに代えて
あとがき
図版クレジット一覧
山田 夏樹[ヤマダ ナツキ]
1978年、東京都生まれ。法政大学文学部助教。専攻は日本近現代文学・文化。著書に『ロボットと〈日本〉』(立教大学出版会)、共著に『村上春樹と二十一世紀』(おうふう)、論文に「三島由紀夫「鏡子の家」における現在性」(「文学・語学」第216号)など。