妖怪は繁殖する

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妖怪は繁殖する

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  • サイズ A5判/ページ数 250p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784787291813
  • NDC分類 905
  • Cコード C0395

出版社内容情報

村・記憶・世間話の世界から飛び出して、小説・コミックス・映画・フィギュアなど、さまざまな文化現象のなかで増殖しつづける妖怪たち。私たちは、どのように妖怪を愛で忌んでいるのか。妖怪の現在形から現代の闇を透かし見る「ナイトメア叢書」第3巻。

「闇」への想像力をかきたてるために――「ナイトメア叢書」刊行にあたって  一柳廣孝


はじめに  一柳廣孝


第1章 妖怪と付き合う

妖怪研究三十年――小松和彦インタビュー 小松和彦[聞き手:一柳廣孝/吉田司雄]
 1 現代によみがえる妖怪たち
 2 社会の写し絵としての妖怪ブーム
 3 妖怪を思考すること
 4 民俗学と記憶と妖怪と
 5 「異人」としての小松和彦
 6 そして、民俗学と妖怪の未来へ

妖怪という文法――京極夏彦インタビュー 京極夏彦[聞き手:一柳廣孝/吉田司雄]
 1 妖怪研究の現在
 2 妖怪研究は不可能である
 3 妖怪とは、水木しげるが作ったものだ
 4 水木しげるの妖怪観
 5 妖怪を書く
 6 タイトルとボリュームと
 7 どの出版社で何を書くか
 8 メタ妖怪小説としての『豆腐小僧双六道中』
 9 『妖怪馬鹿』たち
 10 変質する妖怪
 11 表現に対するこだわり
 12 言葉のリズム


第2章 妖怪を語る

果てしなき流れに身を投じ  化野 燐

「妖怪」の要素――描くという視線から  東雲騎人

実録怪談のなかの妖怪たち  中山市朗

妖怪展にまつわる不思議な体験  湯本豪一


第3章 表象としての妖怪

薄明を歩む――熊倉隆敏『もっけ』  一柳廣孝
 1 コミックスカバーの記号学
 2 ヒトと物怪のあいだ
 3 境界に佇むこと
 4 モノノケと語ろう

怪猫映画の系譜学  志村三代子
 1 怪猫映画の変遷
 2 新興キネマの怪猫映画
 3 鈴木澄子という女優
 4 大映の怪猫映画

「モノノケ」の奏でる音楽――初期ソウル・フラワー・ユニオンの音楽が問題にしたもの  広瀬正浩
 1 被災地に現れた「モノノケ」
 2 「モノノケ」の視覚化とアイヌへの関心――『カムイ・イピリマ』
 3 「モノノケ」への呼び掛け――『ワタツミ・ヤマツミ』
 4 「モノノケ」を表象することの限界
 5 主体としての「モノノケ」――モノノケ・サミットの実践
 6 まとめ


第4章 時代のなかの妖怪

近世の怪異と知識人――近世前期の儒者を中心にして  木場貴俊
 1 近世怪異文化の大立者、林羅山
 2 怪異の唯物論的理解――貝原益軒をもとに
 3 怪異の唯心論的理解――『性理字義』の受容

恋するオサカベ  横山泰子
 1 江戸―明治期のオサカベ物
 2 泉鏡花の『天守物語』
 3 岡本綺堂の『小坂部姫』
 4 現代歌舞伎の「恋するオサカベ」

毛玉たちの沈黙、あるいはケサランパサランの独白  飯倉義之
 1 吾輩はケサランパサランである
 2 いかに珍重されたかは、今日に至るまでの名前の多さでわかる
 3 吾輩は昭和五十年来多少有名になったので
 4 ありがたいありがたい。

ツチノコも繁殖する――「恐怖」から「愛玩」へ  伊藤龍平
 1 『逃げろツチノコ』の話し手たち
 2 ドラえもんとツチノコ
 3 ツチノコのキャラクター化


[連載]
ゆらぐフレームの内外(第3回)
キング・コングになれなかった男  吉田司雄

真夜中のセクシュアリティ(第3回)
いつか妖怪になる日――馴らされぬ怪異を求めて  久米依子
 1 〈妖怪愛〉の時代
 2 同胞としての妖怪たち
 3 怪異の無害化と共生――巌谷小波・宮沢賢治
 4 〈母〉という怪異――小川未明


第5章 妖怪をまなざす

妖怪研究の現在  香川雅信
 1 妖怪研究の流れ
 2 妖怪と娯楽・サブカルチャー
 3 妖怪と怪談・幽霊研究

「鏡花」の「怪異」について「語る」こと――田中貴子『鏡花と怪異』を読む  松村友視
 1 物語とは何か
 2 「怪異」のこわさとは何か
 3 物語りたいのは誰なのか

ブックガイド  諸岡卓真/川崎公平/横濱雄二/井上貴翔/成田大典

内容説明

小説、コミックス、映画、フィギュアなど様々な文化のなかで増殖し続ける妖怪たち。

目次

第1章 妖怪と付き合う(妖怪研究三十年―小松和彦インタビュー;妖怪という文法―京極夏彦インタビュー)
第2章 妖怪を語る(果てしなき流れに身を投じ;「妖怪」の要素―描くという視線から;実録怪談のなかの妖怪たち;妖怪展にまつわる不思議な体験)
第3章 表象としての妖怪(薄明を歩む―熊倉隆敏『もっけ』;怪猫映画の系譜学;「モノノケ」の奏でる音楽―初期ソウル・フラワー・ユニオンの音楽が問題にしたもの)
第4章 時代のなかの妖怪(近世の怪異と知識人―近世前期の儒者を中心にして;恋するオサカベ;毛玉たちの沈黙、あるいはケサランパサランの独白;ツチノコも繁殖する―「恐怖」から「愛玩」へ)
ゆらぐフレームの内外(第3回)キング・コングになれなかった男
真夜中のセクシュアリティ(第3回)いつか妖怪になる日―馴らされぬ怪異を求めて
第5章 妖怪をまなざす(妖怪研究の現在;「鏡花」の「怪異」について「語る」こと―田中貴子『鏡花と怪異』を読む)

著者等紹介

一柳廣孝[イチヤナギヒロタカ]
1959年、和歌山県生まれ。横浜国立大学教員。専攻は日本近代文学、日本近代文化史

吉田司雄[ヨシダモリオ]
1957年、東京都生まれ。工学院大学教員。専攻は日本近代文学、文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひめの たろう

0
青弓社3号 2006/12

目目水母

0
妖怪というと民俗学の範疇というイメージを持つ人は多いが、本書収録の論考は民俗学に留まらない(中には感想文みたいのもあるが・・・)。ケサランパサランが受容されていく過程を本人によるモノローグ形式で綴った「毛玉たちの沈黙、あるいはケサランパサランの独白」や、妖怪からUMAへと変貌したツチノコに関する「ツチノコも繁殖する」が面白かった。2011/08/12

c

0
小松和彦と京極夏彦のインタビューは面白かった。同じように「妖怪」を希求しながら、二人の立場が微妙に対立しているのだ。小松の「異人論」を下敷きに京極が「姑獲鳥の夏」を書き、それがその後の妖怪ムーブメントに繋がっているわけだが、いわば理論の通俗化という関係性は現在も変わらないらしい。小松はまだ真摯だけれど、京極の妖怪(だけに限らないが)に対する態度は尊大に過ぎる。「通俗娯楽小説家」というより、たんに俗物と言った方が正しいだろう。2010/09/05

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