出版社内容情報
1930年代、日本のアニメーション業界でいち早くセル画を導入し、さらには本格的なトーキーアニメーションの制作に取り組み、名作『くもとちゅうりっぷ』(1943年)を作り上げた政岡憲三。「日本アニメーションの父」と呼ばれ、戦後は後進の育成などに力を注ぎ、アニメーション制作から遠ざかったとされていたが、晩年に温めていた構想があった。それが幻のアニメーション作品『人魚姫の冠』である。
『アンデルセン童話集』の「人魚姫」から着想を得た『人魚姫の冠』。政岡自身の手によるその絵コンテやデッサンをフルカラーで所収して、どのような構想から『人魚姫の冠』をアニメーション化しようとしたのかも解説する。
日本アニメーション史上、きわめて貴重な資料の全貌を明らかにする。
映画監督・高畑勲による「わたしにとっての政岡憲三さん」も所収。
内容説明
名作『くもとちゅうりっぷ』を作り上げ「日本アニメーションの父」とも呼ばれる政岡憲三。彼が晩年にアニメーション化を構想した『人魚姫の冠』の絵コンテやデッサンをフルカラーで所収して、日本アニメーション史上、きわめて貴重な資料の全貌を明らかにする。
目次
はじめに―政岡憲三とは?(萩原由加里)
政岡憲三『人魚姫の冠』絵コンテ
『人魚姫の冠』の絵コンテを読み解く(萩原由加里)(『人魚姫の冠』とは;『アンデルセン童話集』を手がかりに―ストーリーと設定を知るヒント;絵本を手がかりに―さらなるストーリー展開のヒント;時代考証―政岡が求めた「珍しさ」と「美しさ」を読み解く;政岡による独自の物語;なぜ人魚姫は昇天できたのか?―「エロス」と「アガペー」の葛藤;あとがきにかえて)
わたしたちにとっての政岡憲三さん(高畑勲)
著者等紹介
政岡憲三[マサオカケンゾウ]
1898年生まれ、1988年没。1930年代から40年代にかけての漫画映画業界で活躍し、現在では「日本のアニメーションの父」と呼ばれている。戦後は日本動画社の設立にも関わり、森康二らを育てる。アニメーションを離れた後は、挿絵画家として活動する。代表作は『くもとちゅうりっぷ』(1943年)
萩原由加里[ハギハラユカリ]
1979年生まれ。立命館大学文学部史学科一貫制博士課程日本史専攻卒業。立命館大学大学院先端総合学術研究科表象領域修了。京都精華大学、甲南女子大学ほか非常勤講師。著書、共著などもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鈴木誠二