内容説明
音楽メーカーから独立したCD制作を特徴とし、同人イベントや同人ショップを中心に流通する同人音楽。同人イベントM3の紹介や当事者へのインタビュー、さらには『初音ミク』や「ニコニコ動画」も織り交ぜながら、拡大を続ける音楽文化の振源に迫る。現代文化状況を論じるための新たな地平を拓く新鋭の音楽論。
目次
第1部 同人音楽(同人音楽への招待;概念としての同人音楽とその射程;同人音楽「と」ジャンル;同人音楽批評は可能か)
第2部 同人音楽の周辺(現代的想像力と「声のキャラ」―『初音ミク』について;オンライン世界での協働―『組曲『ニコニコ動画』台湾返礼』について;純愛者であることの困難―アマチュア音楽について)
ふたたび、同人音楽
著者等紹介
井手口彰典[イデグチアキノリ]
1978年、広島県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。2007年10月から鹿児島国際大学福祉社会学部専任講師。専門は音楽学・音楽社会学、特に現代の音楽文化について。『ネットワーク・ミュージッキング―「参照の時代」の音楽文化』(勁草書房)で第25回「テレコム社会科学賞」奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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3
「推し活」という言葉が登場する以前までの煩悶が伺える一冊。聴いていて何となくいいなあ、というのが大事ですよ。2024/05/25
愛楊
2
2012年出版。収載されている論文のほとんどは書き下ろしではなく本書出版以前に著されたものである。著者の井手口教授との面談中に本書を勧められて読むことになった。インタビュー記事の音MAD論は貴重だと思う。ただ、本書の主眼である同人音楽の「降りやすさ」については、現在のシリアスレジャー概念との摩擦が予想されると思われる。どうやら「降りやすさ」は東浩紀の『動ポモ』から案を承けているらしく、本書では「降りやすさ」は同人音楽の特徴でもあるとされるが、その趣味の「シリアス」性はあまり論じられていないように思う。2024/09/06
古戸圭一朗
2
「同人音楽」についてのまとまった学術的成果は、おそらくこれ以外にあまりないだろう。私は同人音楽にはあまりなじみがなく、同人誌コミュニティの延長ないし派生的な領域として読んだ。同人音楽はDTM環境やボーカロイドなど、テクノロジーが、同人誌よりその発展に影響を与えてきたのかもなど思いつつ、同人誌に関しても色々共通しており示唆的なトピックが多い気がする。特に、第7章の「純愛者であることの困難」は、文化活動におけるアマチュアに焦点を当てており、「同人」に関わっていれば、読んでおきたい内容。2019/12/03
rararagi
2
同人音楽を社会学的な観点から論じているような論じていないような本。同人音楽という文化がいかなる物か、改めて確認出来ます。同人音楽について色々考えてみたい人には良いかもしれません。ただ同人音楽が好きという理由だけでこの本を手に取ると辛いかも。2012/04/26
totssan
1
コミケの同人誌と同じ感覚で、バンド活動をはじめとした楽器演奏のサークル活動(学生の趣味の集いとその延長)を同人音楽として論考する本。アマ音のサークルに所属していることもあり、タイトルに興味を持ち通読。同人やらアマチュアリズムなど、特に分析なんかしなくても・・という姿勢で今までいたが、本書を読み、一部なるほどと深く思える視点が得られた。後半部に進むにつれ、慣れからくるのか文章が読みやすくなるのも助かった。論文調で趣味の世界を語られると意外とつらい。そしてせっかくの結論ではあるが、「で?」とも思ったり。2020/06/03
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