内容説明
既製品を流用するレディ・メイド、印刷物の断片を流用するコラージュ。アートは複製技術の登場をきっかけにあらゆるものを流用し、次々にアート作品に置き換えてきた。現代アートの百年を「流用」という視点からレクチャーして、これからのアートの可能性に迫る。
目次
「流用」によるアートの誕生
「既にあるもの」と現代アート
抽象表現主義とネオダダ
ミニマリズム
アート表現に置き換えられる身体行為
コンセプチュアル・アート(概念芸術)
「場」を流用し、表現を拡張する
ポップ・アートの登場と展開
アメリカのポップ・アート
ゴミという素材へのこだわり
ポストモダニズム
なりきることで生まれ変わる
拡張される写真の正面性
流用は時間を変容させていく
メディアを超えて連鎖する流用
ライフスタイルと重なり合うアート
「流用」が紡ぐ神聖からキッチュまで
著者等紹介
小田茂一[オダシゲカズ]
1949年、石川県生まれ。東京大学文学部(美術史)卒業、広島大学大学院社会科学研究科博士課程前期(マネジメント)修了。NHKの教育・教養系番組ディレクターおよびプロデューサーを務め、現在、愛知淑徳大学メディアプロデュース学部(メディア表現コース)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たいそ
4
アートの表現は「何がwhat」ではなく「どういうふうにhow」になり、さらに「独自のコンセプト」を提示しているかどうか、になっているらしい。自分は「アート」はよくわかっていないのだが「これは何を表しているんだろうねぇ?」という入り方はしないようにしてみたい。「いつの時代にも、アート作品には表現者からのメッセージが込められている。」そうなので、それを感じられるようにしていきたい。「現実に、私たちが日常のなかで視覚を通じてみている知識は、本物からではなく、コピーされたイメージを通してであることが少なくない。」2017/02/10
邪馬台国
1
ここ100年の大きな流れをさっと再確認できて満足。著者の好みで説明にばらつきがあるけども、どの“流用”も毎回そこに至るまでの文脈をたどり直すので、読み進めるうちに一世紀で鳥瞰的に眺めたときのウエートが感覚的にわかってくる。さらに掘り下げるための参考文献が充実してたらなお良かった。2012/11/10
haji
0
つまらなすぎて途中で読むのをやめた。流用、という言葉を軸に美術史を紐解く姿勢や価値は理解できるが、あまりに内容が薄く「お前ただ流用って言いたいだけだろ」的な趣がある。途中で椹木野衣の『シミュレーショニズム』を引用しているのだが、それこそ『シミュレーショニズム』を読んだ方がよっぽど「流用」という概念について深く理解出来るだろう。もちろん、入門書としてもオススメ出来ません。2012/09/15
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