内容説明
宝塚の華・男役は百年をかけて作り上げられてきた歴史的産物であり、同時に時代とともに変化していく生きた姿である。それは観客がいだく理想像であり、時代ごとの思想を反映している。正塚晴彦の全作品に織り込まれた現代に対する鋭い感覚を解読して、男役の行方を見定める。
目次
男役という性(『モン・パリ』―倒錯のエロチシズム;『ベルサイユのばら』―オスカルの長髪;『エリザベート』―男役の消滅)
正塚晴彦の全作品(『暁のロンバルディア 愛が甦るとき』―自己否定の思想;『イブにスローダンスを』―過去の呪縛の強さ;『アンダーライン』―プレイバック;『テンダー・グリーン』―心を開くこと;『パペット 午前0時の人形たち』―人生の教師 ほか)
著者等紹介
天野道映[アマノミチエ]
1936年生まれ。東京大学文学部仏蘭西文学科卒、朝日新聞記者を経て演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
37
読み友さんの感想を読んで。もう少し全体的なお話が出るのかと思ったら、ご自身が演出された作品の再考などが多かったです。タカラヅカの「清く正しく美しく」を男性演出家がどう演出しているか…美学を感じました。2023/10/11
qoop
2
宝塚の男役の変遷に女性が求める男性像の推移を探る著者は、専属演出家・正塚晴彦氏の作品に特にその同時代性、発展性を見る。反語的だが、女性から自立する男性像を通して自立した女性像を、社会的性差を越えた人間像を際立たせることが出来る…ということか。正塚作品を観たことがない自分にとって内容を云々することはできないが、〈男役〉という宝塚歌劇で独自に発展した演劇スタイルを読み解く上で、有益な内容だと感じた。2014/04/02
ゆうき
1
宝塚きってのハードボイルド作家、正塚晴彦の歴代作品を通して、男役に映し出された男性の理想像を探る。全作品のあらすじも書かれてあって、正塚ファンには涎モノの一冊!2009/04/27
timothy
0
序盤で展開される「男役の変節」についての考察は(論理の飛躍が多いものの)興味深い視点を提示してくれます。論理を離れた過剰な推察や強引な分析が抑えられていれば更に良かったのですが、ハリー氏の美学や演者の逸話に限っても読んだ価値がありました。2015/08/15
さら
0
正塚先生の作品を観たことかなく先生のファンでもありませんが宝塚のことを知りたくて借りてきました。あらすじがわかりやすく書いてあり、役を演じたジェンヌさんも書いてあったので想像しやすかったです。いくつか観たいなと思った作品もありました。2014/03/17