出版社内容情報
自己責任や競争を推し進める新自由主義の時代にあって、在日コリアンはどのように自身の人生を選択し、この社会に「適応」しようとしているのか。また、在日コリアン内部での格差は、どのように生起しているのだろうか。
在日コリアン社会へのフィールドワークを通じて得たライフコースに関する語りの分析から、現代の在日コリアンがエリート層、あるいはアンダークラスへと分極化していくプロセスを丹念に描き出す。それと同時に、拡大した格差が在日コリアンのコミュニティ内部に葛藤を生じさせる事態にも迫る。
新自由主義の原理で満たされた現代を生きる在日コリアンの経験を、人種やエスニシティ、ジェンダー、階級などの複数の要因の絡み合いを想定する「交差性」の視角から読み解き、移民としての背景をもつエスニック集団が直面する複雑化し細分化した社会的不平等の実相を浮き彫りにする。
内容説明
在日コリアン社会へのフィールドワークを通じてライフコースに関する語りを分析し、「交差性」の視角から在日コリアンの経験、そして格差や葛藤を読み解く。移民としての背景をもつエスニック集団が直面する複雑化し細分化した社会的不平等の実相を浮き彫りにする。
目次
移民をとりまく社会的不平等をどのように捉えるか
在日コリアンをとりまく社会的不平等をめぐる二つの問い
第1部 「移民」としての現代の在日コリアンを捉える(在日コリアンという移民集団;日本の新自由主義の歴史的展開とその帰結)
第2部 在日コリアンの分極化メカニズム(「新たなエリート層」としての在日コリアンにみる経済的同化―階級・ジェンダー的優位による「上昇同化」の達成;在日コリアンのアンダークラス化―抑圧の交差による選択肢の「反復的・重層的剥奪」)
第3部 エスニックな社会的不平等是正の深部を探る(朝鮮学校コミュニティでの階級的分断軸の顕在化―移民の「能動的」適応と新自由主義によるエスニックな結合の侵蝕;次世代への就職キャリア支援の意図せざる帰結―「新たなエリート層」による新自由主義社会への適応技法の伝承)
移民をとりまく社会的不平等を問い直す
曖昧化する境界―一九七〇年代以降の日本企業への在日コリアンの「包摂」
著者等紹介
鄭康烈[チョンカンリョル]
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員PD。専攻は国際社会学、移民研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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