出版社内容情報
1957年からNHKで放送されたテレビドキュメンタリー・シリーズ『日本の素顔』は、戦後社会で映画とは異なる新たな表現を切り開いた。初期テレビ制作現場に集った人々はどのようにテレビドキュメンタリーを創造し、どのように『日本の素顔』を作り上げていたのか。
本書では、放送アーカイブを活用して現存する『日本の素顔』を視聴し、当時の資料を渉猟し、関係者へのインタビューを積み重ね、当時の制作現場での試行錯誤や模索、様々な実践に光を当てて、テレビドキュメンタリーという表現形式の独自性を明らかにする。
具体的には、大阪中央放送局の番組制作の実態、制作現場で立ち上がる規範や葛藤、『日本の素顔』唯一の女性プロデューサーの実践などから、東京中心の初期テレビドキュメンタリー史に東京/大阪、男性/女性、エリート/アシスタントという視点を挿入して、『日本の素顔』の複数性と重層性を浮き彫りにする。
これまでの初期テレビドキュメンタリー史では十分に記されてこなかった番組制作の営みや、ドキュメンタリーという表現が内包するグラデーションを可視化する労作。
内容説明
『日本の素顔』の制作現場に集った人々は、どのようにテレビドキュメンタリーを創造しようとしていたのか。放送アーカイブ、当時の資料、関係者へのインタビューから、これまで十分に記されてこなかった番組制作の営みや試行錯誤、ドキュメンタリーという表現が内包するグラデーションを可視化する。
目次
第1章 放送アーカイブを活用した初期テレビドキュメンタリー研究
第2章 テレビドキュメンタリー前史としての「録音構成」―NHK『街頭録音』と『社会探訪』
第3章 ラジオと映画が交錯するテレビドキュメンタリー―第八回「日本人と次郎長」
第4章 BKの取り組みにみる初期テレビドキュメンタリーの展開―第八十六回「子どもの見た夏休み」
第5章 ポリフォニックなテレビドキュメンタリーの展開―第百十七回「三行広告」
第6章 “サラリーマン表現者”の葛藤―第百三十九回「政治テロ」
著者等紹介
丸山友美[マルヤマトモミ]
静岡大学学術院情報学領域専任講師。専攻はメディア文化史研究、メディア論、プロダクション・スタディーズ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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富士さん