出版社内容情報
フランス社会は学歴に強く支配されていて、学歴と職業が直結している。そのため、グランゼコールという難関の高等教育機関に入るための厳しい選抜競争を勝ち抜いた人々は自他ともにエリートであると認められている。現代フランスでエリートになるには、どのような能力が求められるのだろうか。
本書では、ピエール・ブルデューとジャン=クロード・パスロンが提示した「言語資本」概念を下敷きにして、グランゼコール入学試験の際のフランス語の運用能力に着目する。選抜におけるフランス語の重視度や運用能力の獲得過程を調査するため、入学試験を分析し、名門グランゼコール在学/卒業生とその親、受験準備学級の教師たちに対するインタビューを実施する。
そして、現代フランスでエリートになるためには、フランス語の卓越した運用能力が専攻を問わず重視され、それ自体が資本として機能していることを明らかにする。また、言語資本は出身家庭で獲得され、継承されるだけではなく、学校教育でも獲得できる非-世代継承的な側面があり、またその内実が変容していること、それによって移民家庭などの恵まれない階層出身者であってもエリートへの階層移動が可能になっていることを照らし出す。
目次
序章
第1部 現代フランスのエリート形成におけるフランス語の位置づけ(グランゼコール入学試験におけるフランス語;エリート選抜におけるフランス語の位置づけ―プレパ教師の語りから;エリート形成におけるフランス語の位置づけ―エリートの語りから;第1部結論 現代のエリート形成におけるフランス語の重要性の保持)
第2部 フランス語の言語資本の獲得とエリート選抜における機能(言語資本の獲得方法・獲得過程―エリートのライフストーリーから;家庭における言語資本の獲得―親へのインタビューから;学校における言語資本の獲得―プレパでの教育実践;エリート選抜試験における言語資本の投資と機能;第2部結論 家庭によって獲得される土台、学校によって与えられるテクニック)
終章 二十一世紀の言語資本と階層移動
補章1 インタビュー調査について
補章2 その他補足説明
著者等紹介
山〓晶子[ヤマザキアキコ]
日本学術振興会特別研究員(CPD)、博士(社会学)。専攻は社会学、社会階層論、質的調査法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 電子書籍
- 映画の英語名ゼリフ Meikyosha…
-
- 電子書籍
- コロポックルでておいで ジュニアポエム