目次
第1章 問題化する「体育会系」のキャリア形成
第2章 体育会系就職の現在
第3章 体育会系神話の起源
第4章 体育会系就職の最盛期―一九九〇年代の体育会系就職と企業スポーツ
第5章 日本社会のしくみと体育会系神話
第6章 体育会系神話のゆくえ
著者等紹介
束原文郎[ツカハラフミオ]
1977年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科単位取得満期退学。博士(スポーツ科学、早稲田大学)。京都先端科学大学健康医療学部准教授。専攻はスポーツを対象にした人文社会科学(スポーツマネジメント、スポーツ産業論、スポーツ文化論、スポーツ社会学など)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
19
著者自らが大学でサッカーに打ち込んだ体育会系としてのアイデンティティを持ちつつ、これに対する冷静な距離感と鋭い問題意識が高いレベルでバランスを保っている好著。詳細なデータの分析と具体的で活気にあふれたインタビューが上手く組み合わされている点も魅力である。「体育会系神話」はそれ自体で完結するわけではなく、所属大学の威信や競技の種類、性別、社会状況など様々な要素に左右される、極めて文脈依存的なものであるという単純だが重要な結論。2024/09/04
ぷほは
8
文武両道を実現した神話の体現者は旧帝大クラスの伝統もしくは人気スポーツクラブの役職持ちであり、マイナースポーツもしくは二軍以下の中堅大学は「有用な身体」とは見なされない。ただし、かつてのアメフトや今のラクロスのように新興スポーツは勧誘から戦術形成まで主体性を持つ学生が多い見込みが高く、人事が好む傾向がある。実業団チームが廃れた後の受け皿として大学クラブは拡大したが、少子化のため学費確保に動くため練習場所や学生の継続的ケアという発想はなかった。指導者かつ教員という立場から現状を厳しく認識する問題意識は明確。2024/05/05
さとちゃん
4
2021年刊。本書は、第4章を除き、2020年1月に受理された早稲田大学スポーツ科学研究科博士論文「日本の大学新卒就職における「体育会系神話」の成立と変容」の内容を一般の読者向けに書きなおされたもの。なので詳細な分析がされていて、読み解く力が求めれた。自分は氷河期入り口で就職活動した地方私立大の女性(しかも文系、サークルは吹奏楽)なので、体育会系神話はあるということは知っていても遠い世界の話だった。本書を読んで、なぜそうだったのか、理由の一端が知れたように思う。→2026/09/08
つかず8
4
久々の紙の本。とても面白かった。体育会系は就活に強いという通説について、スポーツや就活の歴史を紐解き、現在の流れまでを包括的かつ論理的にまとめている良書。体育会神話が出来上がったのは近代日本で、当時人口の0.1%の旧帝大+体育会というスーパーエリートが明らかなエリート採用として就職するという事から体育会神話が始まった。当時の体育会のイメージとして体が健康で頭も悪くない(良すぎない)ことを起点として、現在の打たれ強い、指示に忠実、和を乱さないというイメージの基になっている。2025/08/17
たろーたん
4
体育会系神話はある程度本当である。本書曰く、剣道・アメフト・サッカー・ラグビー・ラクロス・野球などの伝統スポーツは東証一部上場企業就職において有意だったらしい。しかし、ここで面白いと思ったのは「体育会系で心身が鍛えられているから就職しやすい」のではなく、その内実は「OB・OGがすでに就職していて、リクルーターとなってくれるから就職しやすい」という仮説が一番妥当性が高いことだ。故に、応援団・陸上・柔道・ゴルフなどは同じ体育会系だが有意ではなかった。この部分が最も体育会系就職神話を破壊している部分だと思う。続2021/12/02




