内容説明
これまでの68年論が見落としてきた文芸作品や芸術表現、解放を目指した運動の陰で抑圧されていた女性問題などを取り上げて、変革のなかで「性と身体」がどのように語られてきたのかを検証する。アメリカの白人・黒人社会の女性差別、強制不妊手術、男性中心的な視点からの性の解放、中絶をめぐる闘いと女性性の新たなる地平、白土三平の『カムイ伝』で読む政治と女性…。60年代論の新機軸を提示する論集。
目次
第1章 幽閉されるアメリカン・ヒロイン―十九世紀末から一九六〇年代へ
第2章 誰の“身体”か?―アメリカの福祉権運動と性と生殖をめぐる政治
第3章 スウィンギング・シックスティーズの脱神話化―アンジェラ・カーター『ラブ』再訪
第4章 身体の「自律」から「関係」の身体へ―アニエス・ヴァルダ『歌う女、歌わない女』をめぐって
第5章 女性性の戦略的表象―アンナ・オッパーマンの「アンサンブル・アート」と“六八年”の身体
第6章 一九六〇年代日本の女性運動家の実情とイメージ―白土三平のマルクス主義的長篇漫画『カムイ伝』を題材に
著者等紹介
小松原由理[コマツバラユリ]
神奈川大学外国語学部准教授。東京外国語大学大学院博士課程修了、博士(学術)。専攻はドイツ芸術・文化、前衛芸術思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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