内容説明
確実性・安定性・計算可能性を喪失して流動性が高まった現代社会で、不確実性を象徴する「不安」は多様な形で、多様な場面で私たちの生活とともにある。死・悪・自然災害・テロ・世界経済・金融市場などを素材に不安の源泉を明視し、不安に抗する思考を描き出す。
目次
序論 不安の源泉・動態・用法について
第1章 死への恐れ
第2章 不安と悪
第3章 管理できないものの恐怖
第4章 グローバルなものの脅威
第5章 不安を浮遊させるということ
第6章 不安に抗する思考(あるいは、どうしたらいいのかと問うであろう人のための、決定的なものではない結論)
著者等紹介
バウマン,ジグムント[バウマン,ジグムント][Bauman,Zygmunt]
1925年、ポーランドのポズナニのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソヴィエトに逃れ、第二次世界大戦後ポーランドに帰国。学界に身を投じワルシャワ大学教授となるが、68年に反体制的知識人として同大学を追われる。イスラエルのテルアヴィヴ大学教授などを経て、現在リーズ大学名誉教授、ワルシャワ大学名誉教授。現代の社会学界を代表する理論家である
澤井敦[サワイアツシ]
1962年、三重県出身。慶應義塾大学法学部教授。専攻は社会理論、社会学史、死の社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hajimemasite
2
液状の近代における様々な事象についてバウマンが書いた著作。作中ではテレビのリアリティ・ショーやハリケーン・カトリーナ、911なの、当時のリアルタイムな話題が多く盛り込まれている。死や特別や承認を求める話は、何度か読んだことのある話であるが、現代においてもそれらの議論が有効であることを豊富な例でバックアップしているのが秀逸。2017/11/08
抹茶ケーキ
2
リキッド・モダニティの中で生まれる不安について。死の不安、テロの不安、存在論的不安など。実際の脅威は減ってるけど、その代わりに存在論的な不安は増えてるみたいな話。結局このあたりの後期近代論者(ベック、ギデンズ、ラッシュ、ヤングとか)が不安について言ってることは大体同じなんだなと思った。実感としてはとてもよくわかるし、統計とか見ても確かにその通りなんだけど。2016/05/24
マッサン
0
職場理解のための社会学勉強。澤井敦先生の論文を並行して読んでて何となく概要は掴めていたが、それでも難しかった。もう少しバウマンを読んで勉強してみたい。2024/09/07