内容説明
戦前・戦中とは切り離されて一新したかのように流通している「戦後」のイメージはどのように作り出され、人々に受け止められているのか。映画からマンガ・アニメ・文学までを取り上げて、アイコン化された「戦後」イメージに抗する思想的作法を照射する。
目次
第1章 ワンダーランド・ヤスクニ―ポップ・ナショナリズムの現在
第2章 歴史の消費―高橋和巳『散華』『堕落』における戦中戦後の“重ね書き”
第3章 “感触”としての戦後―石川淳、金子光晴が描いた“皮膚”と“孔”
第4章 戦後のネオテニー―手塚治虫、そして戦前における多種の理想
第5章 ロボットイメージと戦後
第6章 押井守原作『腹腹時計の少女』における「戦後」表象
第7章 小津映画の戦後とモダニズム
第8章 富士山とレーニン帽―映画『赤線基地』(一九五三年)と「反米」
第9章 「戦後」の視覚的再配置―写真集の歴史表象
著者等紹介
坪井秀人[ツボイヒデト]
名古屋大学大学院文学研究科教授。専攻は日本近代文学・文化史
藤木秀朗[フジキヒデアキ]
名古屋大学大学院文学研究科准教授。専攻は映画史・映画理論、視覚文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内島菫
12
特に第5章の「ロボットイメージと戦後」を参考に。「(長すぎる)戦後」という言葉の自明性へ意識が向けられる(何を意味しているのか、意味していないのか)。アトムは、天馬博士が死んだ息子とそっくりの分身をつくるために生み出されたが、そのプロトタイプはヒューマノイド型の原子爆弾だった。鉄人28号は戦争中に兵器として開発されたものである。等身大であろうと巨大であろうと、日本の漫画やアニメにおけるロボットは、最初から戦争と切り離せない。2025/02/27
子音はC 母音はA
1
ポップカルチャー、高橋和巳、ロボットアニメ、小津映画、戦後を扱った写真集などの素材を使って現在に至るまでの戦後の表象を探る論考集。馬場伸彦「ロボットイメージと戦後」と藤木秀朗「【戦後】の視覚的再配置」が興味深い内容であった。2014/07/04
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