出版社内容情報
「自分らしい死」への志向と専門職に管理される死という現状は、一見相反していながら実は相補的な図式を形成して死の共同性を生起させ、同化と排除の構造を駆動していることを、ウェーバーやパーソンズ、ギデンズ、バウマンなどの社会理論から解明する。
はじめに
第1章 死の意味喪失と自己本位の死
1 ウェーバー、デュルケムと死の社会学
2 合理化された文明人の生
3 死の意味喪失
4 神、永遠の不在者
5 喪の儀礼と社会的連帯
6 自己本位の死
7 アノミー、無限という病
8 意味喪失後の世界に生きるということ
第2章 マクロの死、ミクロの死
1 パーソンズ、意味学派と死の社会学
2 「死の否定」の否定
3 制度化された個人主義
4 ギフト・オブ・ライフと医療倫理
5 死の情報をめぐるコミュニケーションの文脈
6 アメリカ的な「容認される死のスタイル」
7 「ミクロ―マクロ・リンク」
第3章 「閉ざされた人間」の死
1 エリアスと死の社会学
2 肉とナイフ
3 力の独占、死の隔離
4 「内面」を覆う鎧
5 「関係の死」としての死別
6 エリアスとアリエス
7 「関係性」と意味
第4章 モダニティの死、ポストモダニティの死
1 三つの死のかたち
2 「聖なる天蓋」のもとで
3 モダニティと「致死の脱構築」
4 レイトモダンの死、ポストモダンの死
5 ポストモダニティと「不死の脱構築」
6 自由と「クロークルーム共同体」
第5章 死別と社会的死
1 死の諸次元
2 意味学派と社会的死
3 批判と拡張
4 二重葬儀
5 二人称、三人称の社会的死
6 死別と「継続する絆」
第6章 「死のタブー化」再考
1 タブーからの解放?
2 古典的定式化
3 公的な不在、私的な現存?
4 「死のポルノグラフィ」再考
5 消費される「死のガイドライン」
6 断片化する「死の物語」
第7章 死の共同性、生の関係性
1 死を受容する共同性
2 リスクとしての死
3 死を決定する共同性
4 段階論
5 同化と排除の構造
6 閉じられた共同性、開かれた共同性
7 「純粋な関係性」、生と死
あとがき
内容説明
死が医療などの専門職に管理され、日常生活から隠蔽・排除される「死のタブー化」が進行している。他方で、それに対立する考え方も台頭した。他者の死や死別を共有する伝統的な共同性を回顧する志向、そして「自分らしい死」という理念=死の自己決定を重視する志向である。一見すると相容れない死をめぐるこれらの志向は、しかし相補的な図式を形成してある種の死の共同性を生起させている。そのとき、共同性=規範として選択された「良き死」が同化と排除の構造を駆動することを、ウェーバーやデュルケム、パーソンズ、エリアス、ギデンズ、バウマンなどの社会理論から明らかにする。現代社会における死と死別の意味を再考し、死のコード化によって他者を否定しない生の関係性のありようを模索する。
目次
第1章 死の意味喪失と自己本位の死
第2章 マクロの死、ミクロの死
第3章 「閉ざされた人間」の死
第4章 モダニティの死、ポストモダニティの死
第5章 死別と社会的死
第6章 「死のタブー化」再考
第7章 死の共同性、生の関係性
著者等紹介
澤井敦[サワイアツシ]
1962年、三重県出身。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。慶應義塾大学法学部助教授、博士(社会学)。専攻は社会理論、社会学史、死の社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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