青弓社ライブラリー<br> 流言の社会学―形式社会学からの接近

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青弓社ライブラリー
流言の社会学―形式社会学からの接近

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787232083
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C0336

出版社内容情報

噂やデマとは異なり、同一内容の言説を短期間に広範囲に伝える流言。誰もが情報の受信者/発信者となる高度情報化社会で、流言を信じ広めるメカニズムを、聞き手と話し手の信じる/信じないという心的態度と状況・態度・権威の要素とで構造的に解析する。

第1章 流言とは何か
 1 流言への眼差し
 2 グローバリゼーションとローカリゼーション
 3 再検討の必要性
 4 流言の定義
 5 水平的な伝播
 6 垂直的な伝播
 7 水平的伝播と垂直的伝播のかかわり

第2章 流言の内容と形式
 1 流言のテーマ
 2 解釈流言と解決流言
 3 言説の分類
 4 信言・違言・偽言・戯言
 5 言説の伝播
 6 変則的パターン
 7 なぜ信じるのか
 8 なぜ伝えるのか

第3章 流言の変容と心理
 1 アメリカ社会心理学・社会学の研究
 2 民俗学者の研究
 3 流言変容のモデル
 4 不安という心理
 5 飽きという心理
 6 流言発生の心理メカニズム
 7 自己表現としての流言

第4章 都市のなかの流言
 1 田舎の噂と都市の流言
 2 大都市の精神生活
 3 客観的世界と社会的世界
 4 外国人労働者レイプ流言――ジェンダーと流言
 5 四月十五日東京異変流言――マス・メディアと流言
 6 さまよう心と言説――子どもたちと流言

第5章 情報・情報化の意味と影響
 1 情報の二側面
うことと語るということ

あとがき

内容説明

流言は、なぜ広まるのか?なぜ信じるのか?デマや噂とはどう違うのか?情報化社会の極限を迎えた現在、情報の受信者は同時に発信者でもある。そこでまず、流言を話し手と聞き手の二者間のコミュニケーションにまで還元することで、「短期間に広範囲に伝わった同一内容の言説」と定義する。そのうえで、全国に瞬時に伝播したさまざまな流言を形式社会学の手法を援用しながら検証し、話し手と聞き手の判断によって信言・違言・偽言・戯言の四つに分類できることを論証する。それを前提にさらに、状況・態度・権威の三つの要素が作用することによって、流言を受信するだけではなくそれを積極的に発信するようになる伝播のメカニズムを構造的に解明する。

目次

第1章 流言とは何か
第2章 流言の内容と形式
第3章 流言の変容と心理
第4章 都市のなかの流言
第5章 情報・情報化の意味と影響
第6章 タイ米ネズミ混入流言
第7章 堺市O‐157事件をめぐる流言
終章 流言研究の方法―本書の方法論

著者等紹介

早川洋行[ハヤカワヒロユキ]
1960年、静岡県生まれ。中央大学大学院博士課程満期退学。滋賀大学教育学部助教授(社会学博士)。社会学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

misui

1
現在までの流言研究を再検討し通論的に論じる。入門書を一冊かじった程度の人間からすれば、従来の定義では回収できなかった疑問に答えが出たのがありがたい。中でも、水平と垂直の伝播、あと「飽き」の心理の導入は発生要因を「不安」に求めるだけでは心許なかったので得心がいった。また、都市伝説から類型や構造を読み取ることは現代性を切り捨てることにもなるという指摘を忘れてはいけない。2010/06/13

cipher

0
流言についてさまざまな分野の社会学から解釈した上で、実例をもとに考察という流れ。ネットやSNSが普及した今日でも、流言を理解するための土台として通用しそうです。急ぎ足で読んだのでそのうちまた改めて……2012/11/23

kinaba

0
☆ 14ページからの、過去の流言研究のとっていた立場の「再検討の必要性」という章の内容が、どれも我が意を得たり、というもので非常に興味深く読んだ。災害流言に視野を限ると危険である/流言を伝達内容の虚偽性をもって特徴づけるのは適切ではない/知識欲求に原因を求めるのは不足。以降の考察が妥当かどうか、しかと判断できるほど深く論じられているかは難しいところと感じられたけれど、ネットがありメールがある時代の流言を論ずる上でこの定義と出発点は良い位置であると思う2011/04/02

misui

0
雑に読んでしまったので再読。以下メモ的に。モノ・ヒト・非ヒト・コトの分類その有機的な結びつき、解決・解釈流言、「信じさせる力」と「伝えさせる力」を強めようという傾向によって体系化・過激化・脱落が起きる、不安と飽き、都市は小規模の解釈流言に最もふさわしい環境である(人口密度、倦怠と嫌悪、多元化、権威の弱体化)、所与→所識→情報、所与を所識化するということは所与から時間性と空間性を剥ぎ取ることである(体験の経験化)、情報化はしばしば所識を組み替える、受信・発信リテラシー、悪意の拡散と善意の集約。2010/06/15

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