出版社内容情報
コンビニや街頭の監視ビデオ、事件の容疑者や事故の被害者の顔写真、デモ・集会での警察の記録撮影──監視カメラに包囲された現代社会でプライバシーとともに侵される肖像権を民事・刑事の膨大な裁判記録で整理し、撮影も公表も本人の承諾が必要だと訴える。
はじめに――撮影・公表についての各国ルールの概観
1 早々と判例を作った国=フランス
2 肖像の保護には消極的な国=イギリス
3 プライバシー権で処理する国=アメリカ
4 法律を作って対処した国=ドイツ
5 日本は一世紀遅れでフランスを後追い
第1部 刑事法廷で生まれたルール
第1章 警察官による撮影から始まった
1 撮影を違法とした最初の判決
2 練り上げられていった写真への視点
3 最高裁が「みだりに撮影されない自由」を承認
第2章 無断で撮影できる場合がある
1 警察官が無断撮影できる条件を模索
2 警察官による無断撮影の条件が確定
3 一般私人への拡張も十年で完了
第3章 撮影の目的と撮影の必要性・緊急性
1 労務対策のための撮影
2 訴訟準備のための撮影
3 特殊な目的での撮影
4 アマチュア写真家の事件現場の撮影
5 報道目的での撮影
第4章 相当の方法での撮影が要求される
1 法令に違反しての撮影
2 拒否を無視しての強引な撮影
3 至近距離からの撮影、フラッシュ撮影
4 い
9 肖像の営業的利用には承諾が不可欠
第2章 撮影・公表の承諾に必要とされる条件
1 撮影・公表への承諾のあり方が明らかに
2 撮影・公表への承諾は被撮影者を拘束する
3 明らかな拒絶がなければ承諾とみなされる
4 撮影への承諾が公表も承諾したとはかぎらない
5 契約内容を超えれば承諾のない公表
6 撮影時の承諾は第三者にも有効
7 ヌード・水着写真の公表は改めて承諾が必要
第3章 無断で撮影・公表できる場合がある
1 刑事事件とは異なる無断撮影の判断基準
2 無断撮影・公表の基準に刑法二三〇条の二
3 刑法基準を補完する比較衡量基準
4 公益目的の出版物では肖像の無断利用が可能
5 公共性・公益目的を欠く場合は承諾が不可欠
第4章 撮影・公表は相当の方法でされることが必要
1 相当性があるとされた撮影・公表方法
(1)必要限度の配慮がされている
(2)記事内容との関係で写真掲載は相当
(3)掲載目的に照らし公道での撮影は相当
(4)手錠姿ではなく、撮影方法、公表内容も相当
(5)受忍の範囲内で、取り扱いに不当性はない
(br>第3部 法廷の外で生まれたルール
1 「お貸し下げ写真」から代表取材へ
2 公人のプライバシーにかかわる写真
3 犯罪少年の写真は掲載しないルール
4 残虐写真は掲載しないルール
5 解禁になったヘアヌード写真
6 人命が危機にある場面の撮影
7 犯罪・事故などの被害者の写真
8 刑事法廷の代表撮影
9 人物写真をめぐるそのほかのルール
(1)精神障害者の写真
(2)反政府活動家などの映像
(3)恥ずかしい思いをする写真
(4)変わってきた群衆場面の扱い
(5)目的外には使わないルール
(6)裸の写真は掲載しないルール
あとがき
写真・肖像権関係判決一覧
目次
撮影・公表についての各国ルールの概観
第1部 刑事法廷で生まれたルール(警察官による撮影から始まった;無断で撮影できる場合がある;撮影の目的と撮影の必要性・緊急性;相当の方法での撮影が要求される;撮影行為が刑事事件になるとき)
第2部 民事法廷で生まれたルール(肖像は無断撮影・公表から守られる;撮影・公表の承諾に必要とされる条件;無断で撮影・公表できる場合がある;撮影・公表は相当の方法でされることが必要;写真の撮影・公表と民事事件)
第3部 法廷の外で生まれたルール
著者等紹介
村上孝止[ムラカミタカシ]
1933年、愛媛県生まれ。早稲田大学文学部卒。日本新聞協会審査室長、マスコミ倫理懇談会事務局長。久留米大学非常勤講師
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