内容説明
戦前に百万部以上の発行部数を誇り、日本の婦人雑誌文化の基盤をつくった「主婦之友」は、戦時下で商品と読者をどう結び付け、読者の生活実態と消費欲求を誌面にどう織り込んで支持されたのだろうか。同誌を彩った洋装・化粧品・広告・女性美といった素材から、戦争プロパガンダ・広報・広告が交錯するなかで、「信頼」を基盤にして女性たちのネットワークを築き上げようとした戦時婦人雑誌の新たな一面を照らし出す。
目次
第1章 婦人雑誌広告の“信頼”と視覚イメージの洗練
第2章 関東大震災以後の「主婦之友」
第3章 昭和前期の洋装普及と婦人雑誌
第4章 化粧品広告メディアとしての戦時婦人雑誌
第5章 戦争時代の女性の理想美
第6章 婦人雑誌メディアの危機管理対策
著者等紹介
石田あゆう[イシダアユウ]
1973年、大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位認定退学。京都大学博士(文学)。現在、桃山学院大学社会学部准教授。専攻はメディア社会学・消費文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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更紗蝦
14
広告の多さ、投稿欄による読者と雑誌の擬似的コミュニケーション、懸賞や付録による読者の獲得など、戦時中の婦人雑誌と現在の子供向け雑誌(学年誌やティーンズ誌)の共通点の多さが興味深いです。著者は『主婦之友』がいかに読者を大切にしていた雑誌か強調していますが、戦時中は「女は本なんか読まなくていい」「婦人雑誌なんか金の無駄遣いだ」という価値観の男性が相当な割合でいたはずなので、女性読者のニーズに合わせるよりも「妻が婦人雑誌を読んでいいかを判断する夫」の価値観に合わせていた可能性があったのではないでしょうか?2015/07/20