出版社内容情報
パラダイムの一大転換を迫られた明治期、科学とオカルトの境界に狂い咲いた催眠術。魅力といかがわしさとをただよわせ、明治の人々の心をつかんだ「術」の盛衰をたどり、民衆を「国民」として統合していく国家の軌跡を重ね合わせて解読する。
はじめに
Ⅰ 催眠術の登場――合理と非合理のはざまで
1 催眠術の移入
「こっくりさん」の向こう側/催眠術の移入/アカデミズムと催眠術/催眠術と小説・演芸/催眠術ブームの断絶
2 異形としてのメスメリズム
メスメリズムの移入/メスメリズムとスピリチュアリズム/メスメリズムと「電気」
3 「幻術」の発見
催眠術と幻術のあいだ/幻術としての「忍術」/近藤嘉三『幻術の理法』『魔術と催眠術』/気合術師、浜口熊嶽
4 「幻術」の歴史
幻術の歴史/幻術とキリシタン/『動物電気概論』と『魔術と催眠術』の〈絵〉
Ⅱ 催眠術ブームの背景
1 明治三十六年の催眠術
催眠術ブームの再来/「脳」と「神経」と催眠術/催眠術書の中身/催眠術と心霊学/「万能薬」としての催眠術/催眠術の「霊」的理論
2 幸田露伴「術比べ」の周辺
催眠術は「邪法」か「科学」か/「狐」というメタファー/憑物信仰と催眠術/写真・玉突き・催眠術
3 アカデミズムと権力/制度
『催眠術及ズッゲスチオン論集』の刊行/心理学・精神医学の眼差し/心理学と精神医学の「学」的附置/犯罪としての催眠術/宮崎県の私為医業被告事件
Ⅲ 変質する催眠術
1 森鴎外「魔睡」の象徴性
鴎外と「魔睡」/明治四十二年の催眠術/誘発される「性」
2 「千里眼事件」の波紋
千里眼事件と催眠術/メディアの眼差し/福来友吉の挫折/「催眠術」から「霊術」へ
Ⅳ 霊術の時代
1 霊術のバックグラウンド
大槻快尊「精神療法の話」/心理学の「心霊」からの撤退/高橋五郎の「心霊哲学」/マイヤーズの「潜在意識」/精神分析の危うさ/禅と催眠術
2 多面体としての霊術
村上辰午郎の催眠術普及運動/多面体としての霊術/霊術の営業戦略/太霊道と大本教/「神経病」の時代のなかで
3 霊術の行方
庶民の眼差し/霊術ブームの終焉
おわりに――世紀末と現代日本
あとがき
内容説明
パラダイムの一大転換を迫られた明治期、科学とオカルトの境界に狂い咲いた催眠術。魅力といかがわしさとをただよわせ、明治の人々の心をつかんだ「術」の盛衰をたどり、民衆を「国民」として統合していく国家の軌跡を重ね合わせて解読する。
目次
1 催眠術の登場―合理と非合理のはざまで(催眠術の移入;異形としてのメスメリズム ほか)
2 催眠術ブームの背景(明治三十六年の催眠術;幸田露伴「術比べ」の周辺 ほか)
3 変質する催眠術(森鴎外「魔睡」の象徴性;「千里眼事件」の波紋)
4 霊術の時代(霊術のバックグラウンド;多面体としての霊術 ほか)
著者等紹介
一柳廣孝[イチヤナギヒロタカ]
1959年、和歌山県生まれ。横浜国立大学教授。専攻は日本近代文学・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
-
- 和書
- 極楽猫