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目次
口ぶえ
雪まつりの面
雪の島(抄)
古代生活の研究―常世の国
信太妻の話
柿本人麻呂
恋及び恋歌
小説戯曲文学における物語要素
異人と文学と
反省の文学源氏物語
女流の歌を閉塞したもの
俳句と近代詩
詩歴一通―私の詩作について
留守ごと
日本の道路
詩歌篇
著者等紹介
折口信夫[オリクチシノブ]
明治20年、大阪府に生れる。国学院大で三矢重松の薫陶を受け、卒業後は大阪に在る間に「郷土研究」を介して柳田国男を識ったことで研究の方向を定めた。大正3年に再び上京して以降、沖縄はじめ各地に民俗を探訪した成果の上に、日本の文学、芸能の発生を追究した学問体系は、昭和4年刊行の「古代研究」から戦後の「日本文学の発生序説」に至る著述に結実する。その余蘊を国学院大、次いで慶大で教授して後進の育成につとめたのも、功として挙げられていいが、他方では幼少時から「万葉集」に親しみ、大正5年には「口訳万葉集」の業がなるなかで、小泉千樫、島木赤彦らと交って作歌に心を傾け、同14年に処女歌集「海やまのあひだ」を上梓した他、小説「死者の書」、詩集「古代感愛集」「近代悲傷集」等、古代の感覚を近代の造型に象った創作においても一家をなし、学者と詩人の両面の相俟ったところに独自の学風を築いた。昭和28年歿。筆名釈迢空
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感想・レビュー
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うえ
5
古代生活の研究 常世の国 より「神道の意義は、明治に入つて大に変化してゐる。憲法に拠る自由信教を超越する為に、倫理内容を故意に増して来た趣がある。出発点が宗教であり、過程が宗教であり、現にも宗教的色彩の失はれきつて居ぬ所を見れば、神道を宗教の基礎に立つ古代生活の統一原理と見、其信仰様式がしきたりとして、後代に、道徳・芸術、或は広意義の生活を規定したと見て、よいと思ふ。日本の古代生活は、此まであまりに放漫な研究態度でとり扱はれて来た。江戸時代に、あれまで力強く働いた国学の伝統は、明治に入つて飛躍力を失うた」2022/10/04
ダイキ
2
大学図書館。「雪が降つてゐる。其を手に握つて、きゆつと握りしめると、水になつて手の股から消えてしまふ。其が短歌の詩らしい点だつたのです。処が外の詩ですと、握つたら、あとに残るものがない筈はない。つまり、さうでなければ思想もない、内容もないといふことになる。古風の短歌は握りしめてしまへばみな消えてしまつた。何も残らない。さう言ふのが恐らく理想的なものとなつてゐる筈の短歌に、右に言つたやうな内容があり、思想がある訣はないのです。つまり神が日本人の耳へ口をあてゝ告げた話__それが受け継ぐことが出来れば、(続2016/10/24
den55
1
先ず以てこの文庫シリーズを規格刊行された新学社という聞き慣れない出版社を大いに褒めたい。何でも教科書の出版を司ってるようだが、先に出版した保田與重郎文庫の評判から近代浪漫派のシリーズ化を決めたとのこと。その通り、空白にも近い文芸史を埋める価値あるものである。このシリーズは全冊集めても良いくらいだ。さて折口だが、冒頭「口ぶえ」から胸ぐらを掴まれる。読みにくい語句、かな使いではあるが読者は、ゆっくり味わうように読むと良い。読むべきは日本的心情であると知れば身に染み込んでくる。そして、詩歌。読むべき1冊である。2021/04/21
pippi
0
『口ぶえ』の少年。土道を駈け行く足の細しろく、脇なる梢のひま差す横日をうつす、青き悲しみはとこしえなり。『日本の道路』…“道のあはれ”…「あらゆる道の風趣に徹して、道と言へば、即、心の底から揺りあがるものがあったのである」心牽かれる言葉。寄り添い居りたい、釈迢空が世界。2012/05/27
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