感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
17
「晩年に至ってなお衰えぬ近代に対する批判の眼差しが息づいているのを見のがしてはなるまい」という解説の一節が私にとって大事に思いました。今後、万葉集に触れたいと思った時はこの本を繙くことにします。2014/06/10
ダイキ
7
本書は数ある万葉集の選集の中でも、間違ひなく最も優れたものであつて、巻頭に記された「概説」は、万葉集を読む者だけでなく、うたを詠むすべての者が必ず読むべき一編である。うたを現代の卑俗な言葉遊びに過ぎない、「tanka」ともいふべきものに堕落させ、歌を詠むことによつて、かへつてわが国の神代より貫道するものを破壊してゐながら、それを自覚することなく、歌を詠むことを日常下の悦楽とし、自身をわが国の悠久に連なる「歌人」と憚ることなく自称する現代の「tanka人」を、まことの歌人は最も忌み怖れなければならぬ。2015/07/04