出版社内容情報
100年先を見据えて、この国を設計し続けた下河辺淳の小伝
戦災復興院、経済企画庁、国土庁において、戦後日本の国土開発・国土行政の中心的な役割を果たした下河辺淳(しもこうべあつし)の決定版評伝。全国総合開発計画のすべてにかかわり、持続可能な国土をデザインした、下河辺の開発哲学とはどのようなものだったのかを明らかにする。
内容説明
100年先を見据えて、この国を設計し続けた男。今こそ「知の巨人」下河辺淳の哲学を活かす時だ。
目次
今、なぜ下河辺淳か
生い立ち―江戸っ子と関西人とのハイブリッド
国土計画官僚の誕生―戦災復興院から経済企画庁へ
国家百年の大計としての新全総
地下の暴騰を抑える―国総法の全面改正案から国土利用計画法へ
流域圏居住の試み―「定住圏」の構想
国土計画の集大成―四全総、首都機能移転、二一世紀の国土のグランドデザイン
「まず住宅復興とがれき処理だ」―阪神・淡路復興委員長の果断な采配
沖縄を平和の島に―総理と県知事の仲介役
世界のシンクタンクとのネットワークづくり―総合研究開発機構(NIRA)理事長
中国の国土開発政策への貢献
民間でも「公」を追求―東京海上研究所会長・理事長
二一世紀の「人と国土」への提言
人間 河辺淳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tacacuro
1
新人研修で下河辺氏の話をうかがった。その後の国土政策についての講義で、国土庁担当課長から開口一番「君たちは下河辺さんの話をきいたらしいな。まさにそれこそが国土政策だ。自分が付け加えることはない。どんな話だったのか?」と質問されたのには驚いた。残念ながら今は「高齢化が問題だというが、高齢者の定義を変えてしまえば(例えば75歳以上?)解決してしまうことも多いのではないか」という趣旨の話しか覚えていない。本書で同氏の一生を辿ることを通じてあらためて「人と国土」の在り方を学ぶことができた。本当にありがたい。2021/07/20