内容説明
本書ではコンピュータサイエンスの基礎理論をコンピュータサイエンスの中での応用と対応させてまとめている。これは、コンピュータサイエンスの基礎に関するほとんどの書物が応用数学的な観点から書かれており、それがどのように使われるかを読者が掴みにくいからである。コンピュータの利用を人間の脳と対応させて考えると、計算、記憶、推論の3つが基本になると考えてよい。計算については計算の効率化、記憶はデータベース、推論は論理が関係する。データベースはコンピュータに大量のデータを整理して覚えさせるもので、論理によってコンピュータを用いた推論が可能となる。このような背景から、本書では次のような範囲を扱うことにした。モデル化のための基礎:グラフ理論、オートマンと言語。計算の効率化:アルゴリズムの考え方。記憶の実現:情報検索とデータベース。推論:命題論理、述語論理。ハードウェアの設計理論:命題論理と等価であるが回路設計の基礎これらを数学的な基礎である、集合、無限集合、関係、関数などと関連させてまとめている。
目次
1 集合と情報検索
2 無限集合と言語
3 関係とグラフ
4 関数とその応用
5 論理関数と記号論理
6 計算のモデルとアルゴリズムの複雑さ