出版社内容情報
《内容》 発生学を遺伝学の言葉で語らなければならないというキャンペーンの時代は瞬時にして過ぎ去り,発生現象を遺伝子の働きの現われとして理解し,これを分子の言葉で語るのがきわめて当然のことと受入れられる時代に突入した.現在はその時代の真っ只中にあり,発生学は一時の停滞を脱して再びかつての栄光を取り戻しつつある.これを象徴するかの様に1995年のノーベル医学・生理学賞は,シュペーマンによる形成体の発見以来60年ぶりに発生学の成果に対して与えられた.ルイスら3人による,ショウジョウバエ初期発生の遺伝学的制御の研究である. 本書は,動物や昆虫の発生課程を縦糸におき,発生の各段階の重要な現象を遺伝子の働きから解説したものである. 《目次》 1.遺伝子とその発現調節 1・1 遺伝学の構造と発現 1 1・2 転写レベルの遺伝子発現制御 5 1・3 スプライシングレベルの発現制御 18 1・4 翻訳レベルでの発現制御 242.卵形成の遺伝子支配 2・1 卵形成様式 36 2・2 卵細胞分化に必要な遺伝子 49 2・3 胚発生に必要な遺伝子 61 2・4 卵減数分裂に必要な遺伝子 62 2・5 精子形成過程との比較 643.精子形成の遺伝子支配 3・1 精子形成過程の概要 69 3・2 精子形成の突然変異 73 3・3 初期分化段階の制御機構 75 3・4 半数体特異的遺伝子発現の調節 79 3・5 生殖細胞決定因子と精子形成 82 3・6 in vitro 精子形成と精子発生工学 844.初期発生とパターン形成の遺伝子支配--昆 虫 4・1 前後軸に沿ってのパターン形成 93 4・2 背腹軸に沿ってのパターン形成 1125.初期発生とパターン形成の遺伝子支配--脊椎動物 120 5・1 分子機構解明の糸口 121 5・2 パターン形成を司る分子の実体 124 5・3 四肢の形成 129 5・4 神経系のパターン形成 1416.初期発生とパターン形成の遺伝子支配--線 虫 6・1 胚発生 157 6・2 初期胚のパターン形成 1617.胚誘導の分子機構 7・1 両生類の初期発生と胚誘導モデル 185 7・2 細胞成長因子による胚誘導 190 7・3 胚軸の形成に関与する遺伝子 210 7・4 その他の胚誘導にかかわる因子 2188.細胞接着と形態形成の分子機構 8・1 細胞接着分子の多様性 8・2 形態形成と細胞接着分子 2509.神経形成の遺伝子支配 9・1 神経発生の各ステップ 9・2 神経になる細胞を選ぶ遺伝子メカニズム 9・3 ニューロブラストのアイデンティティを探る 欧文索引 和文索引
目次
1 遺伝子とその発現調節
2 卵形成の遺伝子支配
3 精子形成の遺伝子支配
4 初期発生とパターン形成の遺伝子支配―昆虫
5 初期発生とパターン形成の遺伝子支配―脊椎動物
6 初期発生とパターン形成の遺伝子支配―線虫
7 胚誘導の分子機構
8 細胞接着と形態形成の分子機構
9 神経形成の遺伝子支配