出版社内容情報
《内容》 ヒトの生物学的な個体差の要因を研究する「人類遺伝学」の教科書.子が親に似る類似性と,十人十色という多様性の,相矛盾する性質がヒトには共存しているが,このような性質の原因となる遺伝子の構造が生物のすむ地球環境との関わりの中で,その性質とともに解明されつつある.本書は,ほぼ1世紀の間に人類がこの問題に対しどのように挑んできたか,そして得られた成果についてまとめた. 《目次》 1.基礎の考え方1・1 はじめに 1 遺伝学/遺伝学の歴史/形式遺伝学の歴史/生化学遺伝学と分子遺伝学の歴史/遺伝子発現の調節/集団遺伝学と量的遺伝学の歴史1・2 単一遺伝子の伝達法則 4 メンデルの実験/X連鎖遺伝子/ミトコンドリア遺伝子1・3 家系図 10 資料の収集/家系図の書き方/家系調査と遺伝1・4 遺伝子を運ぶ染色体 17 染色体の構造/遺伝子と染色体/染色体の微細構造/ヒト染色体/ヒト染色体の核型1・5 配偶子と細胞分裂 23 細胞周期と有糸分裂/有糸分裂と染色体の行動/減数分裂と配偶子形成2.細胞遺伝学2・1 細胞分裂の誤り 28 減数分裂不分離/有糸分裂不分離/孤発のダウン症候群/そのほかの常染色体異数性2・2 性染色体とその異常 35 細胞にY染色体のある個体:男性/細胞にY染色体のない個体:女性/性染色質/X染色体の不活性化仮説/X染色体の不活性化の機構/X染色体とY染色体の構造/脆弱X症候群2・3 そのほかの染色体異常 45 欠失と重複/転座/逆位/そのほかの染色体異常/染色体異常と遺伝子マッピング3.親から子へ伝わる遺伝子3・1 複対立遺伝子 62 ヘテロ接合体の表現型/分離比の分析3・2 非対立遺伝子の組換え 69 組換え/組換えの生物的基礎/組換え価の範囲/連鎖の相/家系調査でのX染色体マッピング3・3 遺伝子発現の個人差 78 遺伝子発現の違い4.分子遺伝学4・1 DNAの構造 88 塩基対の相補性4・2 DNAの複製:DNA→DNA 91 バブルとフォーク4・3 転写:DNA→RNA 93 mRNA,tRNA,rRNA4・4 タンパク質合成:RNA→タンパク質 97 アミノ酸とタンパク質の構造/翻訳:RNA→ポリペプチド4・5 染色体と遺伝子の構成 101 遺伝子の分断性とmRNAの生成/遺伝子の集積と偽遺伝子/DNAの物理化学的構造と遺伝子の機能/転移因子4・6 ヒトのミトコンドリア遺伝子 1085.遺伝情報とその誤り5・1 3塩基の暗号 110 特異的なコドンの解読/遺伝暗号の性質5・2 突然変異 115 塩基置換/自然突然変異と誘発突然変異5・3 ヘモグロビンの突然変異 1175・4 化学変異原 121 スクリーニングの方法/エームス検査/姉妹染色分体交換5・5 放射線変異原 124 ヒトの放射線被ばく/放射線影響6.遺伝学の新しい技術6・1 組換えDNA 129 組換えDNAの作製/タンパク質の製造/社会問題6・2 DNA操作 135 電気泳動と制限地図/塩基配列の決定/遺伝子ライブラリーの作製/遺伝子ライブラリーのスクリーニング/サザンブロット法/制限断片長多型/DNAフィンガープリント法/ポリメラーゼ連鎖反応6・3 体細胞遺伝学 145 雑種細胞の選抜と単離/酵素活性と染色体の同定/染色体領域の決定7.先天性代謝異常7・1 フェニルケトン尿症(PKU)155 フェニルケトン尿症の変異体/PAH遺伝子の分子生物学/母性フェニルケトン尿症7・2 薬理遺伝学 160 新生児の代謝異常症の検出/薬理遺伝学8.遺伝子プール8・1 遺伝子,遺伝子型,表現型 1668・2 任意交配の頻度 167 任意交配/任意交配から予測される子ども8・3 ハーディ-ワインベルグの法則 169 ABO式血液型:三対立遺伝子/X連鎖遺伝子8・4 近親婚と隔離 172 血族と子ども/同系交配8・5 家系図と近交係数 176 同祖対立遺伝子8・6 近親婚の影響 178 同類交配,選択交配/近親婚と保健衛生8・7 隔離集団 180 遺伝子頻度の機会的浮動/創始者効果とびん首効果8・8 遺伝子プールの変化と進化 182 突然変異/自然突然変異率の推定/選択/移動8・9 進化機構の考え 188 表現型レベルの進化8・10 人 種 1909.多数の遺伝子による形質9・1 変異の尺度 1939・2 変異の分割 1949・3 遺伝模型 195 ヒトでの分析例10.遺伝子と社会10・1 現代の優生学の目的と手段 20010・2 ヒト遺伝子プールの問題と対策 20110・3 生殖技術 20310・4 体外受精と胚移植 20410・5 倫理と法律相談 20510・6 遺伝相談 206 出生前診断/性の予測10・7 遺伝的スクリーニング 20910・8 遺伝病の治療 210 現在行われている方法/遺伝子治療勉学案内 214索 引 215
目次
1 基礎の考え方
2 細胞遺伝学
3 親から子へ伝わる遺伝子
4 分子遺伝学
5 遺伝情報とその誤り
6 遺伝学の新しい技術
7 先天性代謝異常
8 遺伝子プール
9 多数の遺伝子による形質
10 遺伝子と社会