出版社内容情報
魚類、両生類、鳥類、哺乳類、棘皮動物などの動物たちの性行動と、その発現に関わるホルモン、神経についてわかりやすく解説。 有性生殖を行う多くの動物では、効率よく自分の子孫を残すためには、性成熟している個体同士がタイミングよく出会い、受精のための性行動を行う必要がある。性行動の効率をあげるため、個体の行動は内分泌系、神経内分泌系、神経系により絶妙な調節がなされている。
本書では、生殖活動のなかでも性行動に焦点をあて、魚類(キンギョ、サケ・マス)、両生類(イモリ、カエル)、鳥類、哺乳類(齧歯類)、棘皮動物(ナマコ)などの動物たちが、どのような性行動を行い、その性行動が発現するためにどのようなホルモン、神経が関わっているのかを、これまでの研究成果も含めてわかりやすくまとめた。さらに、比較内分泌学の範疇を多少逸脱するが、ヒトの性行動についての章も加えた。
1.序論 [小林牧人・小澤一史・棟方有宗]
1.1 生殖様式の多様性
1.2 受精の様式
1.3 行動学の4つの問い
1.4 性行動という用語について
1.5 おわりに
2.魚類の性行動とホルモン [小林牧人・棟方有宗]
2.1 キンギョの性行動(産卵行動)
2.2 プロスタグランジンとキンギョの性行動
2.3 性ホルモンとキンギョの性行動
2.4 キンギョの性行動の性的可逆性
2.5 サケ科魚類の生活史と回遊行動
2.6 サクラマスの回遊行動
2.7 サクラマスの降河回遊行動とホルモン
2.8 サクラマスの遡上回遊行動とホルモン
2.9 サクラマスの雌雄の性行動
2.10 性ホルモンと雌のサクラマスの性行動
2.11 性ホルモンと雄のサクラマスの性行動
2.12 サクラマスの生活史と性ホルモン
2.13 魚類の脳は両性か?
2.14 おわりに
3.両生類の求愛・性行動とホルモン [豊田ふみよ]
3.1 両生類の行動様式
3.2 両生類の性行動のホルモン調節
3.3 両生類の脳の性分化
3.4 おわりに
4.鳥類の性行動とホルモン [浜?浩子]
4.1 なぜ鳥の求愛行動は種によって多様である必要があるのか?
4.2 鳴禽類の求愛行動と性ホルモンによる活性化作用と形成化作用
4.3 マイコドリの求愛行動と性ホルモンによる活性化作用と形成化作用
4.4 求愛誇示行動・交尾行動と性ホルモンによる活性化作用
4.5 ウズラの性行動と性ホルモンによる形成化作用
4.6 おわりに
5.齧歯類の性行動と脳の性分化 [塚原伸治]
5.1 齧歯類の性行動
5.2 性行動を制御する脳と性ホルモンの働き
5.3 齧歯類における脳の性分化
5.4 おわりに
6.ヒトにおける求愛・性行動と脳の性 [小林牧人・小澤一史]
6.1 生物の個体変異と生物学が研究対象とするもの
6.2 ヒトの性分化
6.3 ヒトの脳の形態的性差および機能的性差
6.4 ヒトの脳の性と性的機能
6.5 身体の性と脳の性の組み合わせ
6.6 ヒトの性的多様性の起因
6.7 おわりに
7.棘皮動物の産卵行動 [吉国通庸]
7.1 棘皮動物の産卵行動
7.2 マナマコの生殖ホルモン「クビフリン」
7.3 in vitro での卵巣片からの排卵の誘発
7.4 クビフリンにより誘発される産卵行動
7.5 頭振りのタイミング ?詳細な行動解析?
7.6 未熟個体も頭を振るか?
7.7 産卵の同調性
7.8 おわりに
略語表
索引
執筆者一覧
謝辞
小林 牧人[コバヤシ マキト]
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小澤 一史[オザワ ヒトシ]
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棟方 有宗[ムナカタ アリムネ]
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内容説明
ナマコやキンギョの産卵、サケ科の回遊、イモリの抱接、カエルの鳴き声、鳥のさえずり・求愛ダンス、ラットの誘惑行動…内分泌から見た生物はこんなに面白い!
目次
1 序論
2 魚類の性行動とホルモン
3 両生類の求愛・性行動とホルモン
4 鳥類の性行動とホルモン
5 齧歯類の性行動と脳の性分化
6 ヒトにおける求愛・性行動と脳の性
7 棘皮動物の産卵行動
著者等紹介
小林牧人[コバヤシマキト]
1956年東京都に生まれる。1986年東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士。現在、国際基督教大学教養学部教授。専門は魚類行動生理学
小澤一史[オザワヒトシ]
1958年群馬県に生まれる。1984年東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。現在、日本医科大学大学院医学研究科教授。専門は神経内分泌学・神経解剖学
棟方有宗[ムナカタアリムネ]
1972年東京都に生まれる。2000年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。現在、宮城教育大学教育学部准教授。専門は魚類行動生理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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