内容説明
生きものを弔うために古代から現代まで全国各地に動物塚が造られている。五百余りを調査し分類・編成した著者は、建立された動機の変遷を読み解き、私たちが生きものに向ける眼差しに変調のきざしを指摘する。
目次
1 動物塚の歴史(動物塚とは;動物塚から見た日本人の動物観;動物塚の時代変遷)
2 モノグラフ(飼育動物;野生動物;開発・災害・戦争などの犠牲動物慰霊碑)
3 付録(建立動機別動物塚一覧;用語解説)
著者等紹介
依田賢太郎[ヨダケンタロウ]
1939年山梨県生まれ。東京理科大学理学部応用化学科卒業。京都大学工学博士。東洋紡績(株)総合研究所研究室長、同社研究総括部主幹、東洋紡アメリカ(株)上席副社長、スタンフォード大学客員研究員などを経て、1991年から東海大学開発工学部教授、2004年から東海大学特任教授。専門は医用生体工学。2009年よりテクバウ代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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更紗蝦
29
動物のために建てられた慰霊碑や供養碑のフィールドワークをまとめた本としてはとても読み応えがあるのですが、「日本人の心性」を考察している部分は、どの部分が著者独自の視点でどの部分が参考文献からの受け売りなの分からない上に、「人と自然を同一に考える擬人化されたアニミズム的世界観」「曖昧で情緒的ともされる日本的動物観」等の表現には「日本スゴイ」「日本は他の国とは一味違う」という先入観が透けて見え、そこが少々ひっかかりました。また、59 ページの犬塚のように、明らかに推敲不足が見られる部分があるのも気になります。2018/12/12
鯖
13
漱石の猫や聖徳太子の犬等、偉人にまつわる生き物から災害や戦乱、実験動物として犠牲になった生き物に至るまで、魚と牛馬だけでそれぞれ1000以上の動物塚が各地に点在するという。冷害で桑の葉が落ち、育てられなくなった蚕を埋めた塚や日本住血吸虫の中間宿主だったため、人為的に絶滅させられたミヤイリガイの供養塔まで様々。疳の虫の薬として珍重されたヘビトンボの幼虫を祀った白石市の孫太郎塚や高野山のシロアリの塚も。ツイッタでGのつく虫の供養のためのとんでもない造形の鉄像見た記憶があるんですけど、それはなかったね…。 2018/09/12