内容説明
フランス革命とナポレオンの登場。国民軍の創設と兵站の重視など軍事組織の大改革。戦争と国民国家が手に手をとって歩みだした。近代軍事史をとおして、世界と日本の「近代」の諸相を照らし出す。
目次
第1部 ナポレオンとその影響(「フランス革命」の負の遺産;クラウゼヴィッツと「戦争」―近代的国民戦争の連続性と転換;サン=シモンからみたナポレオン―ナポレオン論の変容 ほか)
第2部 ポスト・ナポレオンの動向(マキアヴェッリとポスト・ナポレオン期イタリアの政治的ロマン主義―『君主論』解釈とリソルジメント民主派の変質;フランス革命期におけるパトリ(祖国)のアレゴリー
「対内戦争」の勃発と刑罰制度の変化―十九世紀フランスにおける犯罪者の概念の変遷 ほか)
第3部 日本における“戦争と近代”(食文化からみる近代日本の西洋化―福澤諭吉と森鴎外の西洋食論;追放と栄光―保田與重郎のナポレオン論について;国家の枠を超えて―トランスナショナリストとしての南方熊楠の思想と行動 ほか)
著者等紹介
石塚正英[イシズカマサヒデ]
1949年生。東京電機大学理工学部教授。博士(文学)
工藤豊[クドウユタカ]
1950年生。東京電機大学理工学部特任教授。博士(経済学)
中島浩貴[ナカジマヒロキ]
1977年生。東京電機大学理工学部助教
山家歩[ヤマカアユム]
1969年生。法政大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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八八
3
ナポレオン戦争は近代に何をもたらしたのかというテーマでフランスだけではなく世界を対象に考える論考集である。国民、国家、軍事、思想など様々な視点でフランス革命とナポレオン戦争が持たらしたものが描かれる。ナポレオン戦争と佐賀藩、パトリ(祖国)のアレゴリー、国家の枠を越えた南方熊楠、対外戦争と国民意識、などの論考が特に興味深い内容であった。2018/05/03
Mealla0v0
1
絶対主義国家を打倒したフランスの市民革命、そしてその動乱期の空隙を縫って登場した新時代の象徴とも言えるナポレオン。「彼」は世界史になにを持ちこんだのか。それが本書のクエッションだ。▼工藤豊「対外戦争と国民意識」。国民国家は、その意識を対外戦争と深く連動するナショナリズムが形成した。まず「祖国(パトリ)」を守るために義勇兵が登場する。次いで、それは様々な現実的な困難を押さえ、徴兵=国民皆兵として制度化される。そして、そうしてナショナルなものの規律化がなされていく。▼監獄における包摂と流刑の論文も興味深い。2017/05/17