内容説明
戦前日本の天皇制国家における革命運動の試練なかで、一九三二年に唯物論研究会が結成され、国家権力の弾圧に抗して、マルクス主義の思想的課題をめぐる理論的探究が行われた。敗戦後、その遺産を継承しながら、マルクス主義・社会主義思想の再考察が展開された。唯物論と主体性論、疎外論・物象化論、市民社会・国家・民族をめぐる諸問題など、多岐にわたる現代的課題の理論的考察と論争が繰り広げられた。本書はこうした戦後マルクス主義をめぐる批判と論争を再検証し、今日的状況におけるその歴史的意義をさぐる。
目次
第1部 唯物論と実践的主体性(主体性論争で問われたこと;“実践的唯物論”への道程―政治と哲学の距離;疎外論・物象化論から社会を見る)
第2部 市民社会・国家・民族(戦後マルクス主義における「市民社会論」・「自由と民主主義論」の意義と課題;「民族問題」と戦後マルクス主義―戦後初期の「民族問題」論の回顧から)
第3部 戦前の唯物論研究の射程(加藤正と永田廣志がその未来に打ち刻んだもの―フェニックスを掲げた先達たちの遺訓;戦前日本マルクス主義哲学の遺産とそのアクテュアリティ)
著者等紹介
岩佐茂[イワサシゲル]
1946年生まれ。一橋大学名誉教授
島崎隆[シマザキタカシ]
1946年生まれ。一橋大学名誉教授
渡辺憲正[ワタナベノリマサ]
1948年生まれ。関東学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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